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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-1 『合宿二日目・まくらの怒り。雪姫たちの喜劇。「妹扱いくらい、続けてよ……」』
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ついにはお腹を抱えて、足までバタつかせながらアリスが笑い始めた。
 やがて、事態を理解した雪姫が、

「よ……よかった……!!」

 心底ホッとした笑顔で天を仰いで、

「こっこのクソガキ……!  なんってタチの悪いコトを!!」

 怒りに燃える計佑がアリスに馬乗りになると、ウメボシを仕掛けた。

「いたたたた!! ああっホントに痛いイタい痛い!!
ごっごめんなさいごめんなさい! からかった風なのもウソです! 
ホントは、おねえちゃんがあんまり焦るもんだから、
『やっぱりいつもの冗談だよ』ってしといた方がいいと思って!!」

 痛みに悶えるアリスがそんな懺悔をしてきて、
それを聞かされた雪姫は「えええ!?」とまた余裕をなくす。

「そっそれどういうコト!? えっとつまり、結局やっぱり、あ、あなた計佑くんのコトを……!?」

 慌てる雪姫が起き上がって、アリスの顔を覗きこむ。と──

「……なんちゃって♪」

 またもアリスがニンマリとしてみせて。

──三人による喜劇は、まだまだ終わらないようだった。

─────────────────────────────────

 そんな大騒ぎを続ける三人から、かなり離れた場所にいるまくら達三人。
けれど、ギャンギャンと大騒ぎをされていれば、ある程度は声も届いてしまう。
 そして、この三人では一番計佑達に近いまくらは、
もう空など一切眺めずに、横を向いたまま計佑たちの方だけを見続けていた。

「……ねえ、あの三人って昨日もあんな感じだったの?」

 ぽつりと、まくらがそんな質問を口にして、

「そ──」
「あー、昨日はあそこまでやかましくはなかったけどねー。
いやでもっ、実際は昨日も相当いちゃついてやがったんだけど! 聞いてよ、オレがたまたま近く──っ!」

 反対側の端にいた硝子が答えようとした所に、真ん中の茂武市が先んじて答えてしまった。
……それでも、途中で硝子に脇腹をつねられて、中断させられていたけれど。

「す、須々野さん何……っ!?」

 まくらの後頭部から硝子へと振り返るべく、
首を180度回転させた少年は、眼鏡少女の眼力に沈黙させられた。

「……ふーん……そっか……」

 そして、またぽつりと──感情の抜けたような声で、まくらがつぶやいて。

……それっきり、まくらは完全に沈黙してしまうのだった。


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