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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-1 『合宿二日目・まくらの怒り。雪姫たちの喜劇。「妹扱いくらい、続けてよ……」』
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うあんなマネ、お前には出来ないよな……」

 そんな風に、苦笑する事しか出来なかった。
 まくらもいつも嫌がっていた行為だし、あんな子供扱いみたいなマネは、もうすっぱりやめないと。
そう考えて口にした言葉だったけれど、それにまくらが目を見開いて、愕然とした顔つきになった。

「……なんで……?」
「……いや、なんでって……そりゃあだって……」

 随分大袈裟な反応をするまくらに戸惑いが湧く。一瞬言葉も切ったが、迷いは一瞬だった。
 恥ずかしくはあったが、ここで誤魔化してしまって、
もしまたまくらを傷つけるような事になったら、それは昨日の事をまるで反省していないのと同義だ。
 そう考えて、言葉を継いだ。

「……お前は子供っぽいとこも多いけど、でももう何も出来ない子供なんかでもないんだよな。
もう、オレに出来ないよう事をいくつも出来る、スゲーやつになってたんだよな。
だから、今までみたいな、ガキ扱いするとか、一方的に兄貴目線で接する訳にはいかないよなって」

 照れくさくて、まくらの顔を見れないままそんな言葉を並べたのだけれど、

「なんでよ!!」

 一喝されて、ビクリと視線を戻した。
唇を噛み締めて、悔しそうな顔で睨み上げてくる姿にまた戸惑う。

──え……? なんでキレるんだよ、今のトコで。

 嫌がっていた子供扱いをやめると。
もう立派な、一人前の人間なんだよなと認め、褒めた筈の言葉なのに。
 訳が分からず、狼狽えるばかりで何も言えなくなってしまう。

 そんな少年を前にして、やがて少女はくっと俯いて。

「……妹扱いくらい、続けてよ……」

 呟いてきたけれど、計佑には後半しか聞き取れなかった。

「え? 何を続けろって……?」
「やってよ……前みたいに。ちゃんと、私の髪、かき回してみせてよ……」

 今度の言葉はちゃんと聞き取れた。そして、まくらが頭を突き出してもくる。けれど、

「……は……?」

 意味がわからなかった。話の脈絡も、まるでわからなかった。

「いや、いきなりそんなコト言われても……」

 別に難しい事ではない。
簡単で、以前だったら何も考えずにやれていた事だけれど、
明らかにヒステリーを起こしている所に、そんな事を仕掛けるなんて出来る筈もなくて。

 最近のまくらは随分と暴力性も上がってきていた。
言われたからといって本当にそんな事をしたら、それはそれで鉄拳が飛んでくるんじゃないか──
そんな疑念もあって動けずにいると、やがてまくらが怒らせていた肩をストンと落とした。

「……わかった……もういいよ……」

 力ない声で告げて、まくらが計佑の横を通り過ぎる。けれど、呼び止める事は出来なかった。
止めたとしても
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