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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第23話-1 『合宿初日・ソフトボール観戦「……目覚くんは、絶対後悔するから……!」』
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 不安になって尋ねると、ホタルは笑顔を浮かべてみせた。

「……そうじゃないよー、でもなんだかすぐに眠くなってきて〜……
多分、一気にカラダとか戻りそうなせいなんじゃないかな〜……
とにかく、つらいとかじゃないから〜……」

 そう答えたホタルは、もう本当に眠そうで。

「……本当に大丈夫か……?」

 それでも不安が拭い切れずにもう一度問いかけると、ホタルは静かな笑みを浮かべた。

「……ああ。本当に平気だから、心配するな計佑……」

──ドキリとした。それは、展望台でのホタルのような、大人びた笑みと口調だった。

 驚いている間に、もうホタルは寝息を立て始めて。

──……本当に、戻りかけてるんだな……

 そして、ホタルの言う通りなら、合宿から戻る頃にはもう元の姿に戻ってしまっているのだろう。
 そうなれば、当然だが今までのようにじゃれついてきてくれる事もなくなって。
……正直、その事に一抹の寂しさを感じて、すやすやと眠るホタルの頭を一撫でする。

──そして、部屋を埋め尽くす紙切れの山を見渡して。

──……そりゃ、寝ぼけた子供のやった事だから叱れないけどさぁ……

 出発前に面倒な仕事が増えてしまったと、頭を痛くするのだった。

─────────────────────────────────

 荷物を学校へと置き、雪姫や硝子と合流して。
試合が行われる球場へとやって来た計佑達だったが──
試合が始まった今、三人は揃ってポカーンと惚ける事しか出来なくなっていた。

「……ま、まくらちゃんってこんなにスゴかったの……!?」
「……お、オレも知りませんでした……」
「……今日は特に調子がいいんだろうけど……それにしても……!!」

──バシーン!!! ──バシーン!!!と、まくらの手から離れた次の瞬間には、
もうミットに吸い込まれるボールが、腹にまで響いてくる音を立て続けていて。
その勢いは、テレビで見るオリンピック選手の球の速さにも負けてないようにすら感じられた。
 勿論、実際にはそんな事はないのだろうけど、
画面越しではない生で、そして至近距離で見るその球は、もうそんな風にしか思えないほどの迫力だった。
 どんどん築かれていく三振の山。
たまにバットに当てられる事もあったが、すっかり腰が引けてしまっているバッターが、
ヘロリと振っただけのスイングでは後ろへ飛ぶファールになるか、前に行っても内野ゴロが関の山で。
完封どころか、パーフェクトすら果たしてしまいそうな勢いだった。

「すごいすごい!! ランナー、一人も出てないよね!? これって完全試合ってやつになるんじゃない!?」
「そうですね……!! 万年一回戦のソフト部が、今年は
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