第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
リー
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込む。なら、逆に下から蹴りを飛ばせばどうするだろう。リーはそれを実行したのだ。
案の定、上から蹴りがくるものと思い込んで屈んだキバは下からの攻撃にいきなり反応出来ずに宙へ飛ばされる。背後から赤丸が襲撃してきたが、リーはそれを空中に飛び上がって避けた。同時に、「影舞葉」を使用してその下を飛んでいく。
「――!」
表蓮華は師匠たるガイに禁止されて入るために使う気はない。キバの片腕を掴んで、下から迫っていた赤丸の方へ投げ飛ばす。赤丸の変化がとけ、キバは赤丸を庇う形で地面に激突してしまった。血を吐きながらもなんとか起き上がったキバが再び通牙を使おうとするが、使いすぎでチャクラ切れを起こしてしまっているらしい。飛び上がって拳を振り上げたキバに自分の拳をぶつけた。チャクラを使わない体術なら負けない自信ならある。そのままキバに体当たりを食らわし、キバは再び地面に落下した。
「かはっ……」
血を吐き出しながらキバが再び立ち上がろうとするが、力が入らないらしい。荒い息をつきつつなんとか立ち上がろうとしていた彼だが、結局力尽きたようだった。それを見たハヤテが宣言する。
「勝者、ロック・リー」
キバがぐっと悔しそうに下唇をかみ締めた。赤丸やヒナタ、紅の心配そうな声が聞こえてくる。
「お前……まだ、本気、出してなかったろ」
気づかれていたらしい。悔しそうなその顔にリーはちょっとだけ困ったように笑って、手を差し出した。
差し出された手に戸惑っていたらしいキバは、何度か視線をリーとその手の両方に巡らしていたが、やがて、おずおずとその手をとった。リーにそっと助け起こされ、よろよろと立ち上がる。ぎゅっと、リーがその手を強く握ってきた。
「僕はいつだって本気ですよ。試合、楽しかったです。ありがとうございました。――またいつか戦いましょう、キバ君」
リーの朗らかな微笑に、キバは目を見開き、そして、彼もリーの手をぎゅっと強く握り返して、笑った。
「ああ。今度はまけねーぞ!」
「僕だって、後輩に負けるわけにはいけません」
――いい試合じゃったな
中忍試験での試合では、テマリがテンテンにやったような仕打ちをしたり、勝者が敗者を侮辱したりということも珍しくはない。しかし勝者だからと驕ることなく、リーのように相手と握手をしたりするのは実に珍しいことだったのだ。
パネルが再び流れ、最後の試合の対戦者の名前を示す。そして示された二つの名前に、三代目火影は目を細めた。
どうやらこの戦いは、リーとキバのようで握手で終わるというわけには行かなさそうだ。
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