第93話 少年達はOHANASHIするようです
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イへの愛が溢れて!」
「【………良い。先に帰っていろ。】」
パシュゥッ
見慣れた仕草で頭を抱え、月詠をどこかへ転移させた黒ローブ。
・・・違う。尊大な言葉遣いをしていて声もちょっと変だけれど、もう、間違えようが無い。
コレはフェイトの言う"主"でも、ヴァナミスでもない。この、この人は―――
「【―――まだだと言ったろう。俺が相手をするのはまだ先だ。お前の答えを見つけてから来い。
待っているぞ……"最後の地"で。】」
バクッ
「ま、待ってくださ……!!」
好きな事だけ言って、"黒ローブ"は宙に空いた縦に開いた眼のような空間へ入り、それが閉じた後は
跡形も無く消えていた。
僕の、勘違いだろうか・・・・・違う、それはただの願望だ。僕は皆を向うの世界に帰す為に、あらゆる
物事に対して"最悪"を想定して動かなきゃだめだ。だから。もし、あの人達が敵なら・・・。
「…………………あれ!?フェイトの提案に乗っておけばよかった!?」
「はぁ!?今更何言ってんのよあんたは!」
「安心したのかは知りませんが、早く逃げましょう。警備兵が来てしまいます。」
「そ、そうですね。では僕が囮をしますから、二人は一緒に逃げてください。」
最悪を想定したら『絶対に無理』って結論が出ちゃったけど、うん、あくまで最悪だからね。
それよりも今は刹那さんの言う通り逃げないと。さっきの戦闘で認識阻害も解けちゃって周りの人達が
僕らが賞金首だって分かって騒ぎ出してるし。
「警備兵程度ならば大丈夫だと思いますが……お気をつけて。」
「はい、そちらも!」
ドゥッ!
二人が走り出すのと同時、僕は魔法の矢を使って派手に空を跳んで行き、適当に離れた所で長距離の
虚空瞬動で一気に離れる。・・・一気にいろんな事が起こりすぎてちょっと疲れたな。
これ以上何かあったら困る――と思った時、前方から騎士甲冑に身を包んだ2人組が飛んで来た。
くそっ、思った以上に警備の動きが遅かったみたいだ・・・!
「コレット、今度はあの闘技場の方で騒ぎとの通報です!」
「えぇっ!?さっきのカフェの騒ぎはどうしたのー!」
「そんな事私に言われても……む、何か来るです!障壁展開!」
飛んでた一人に勘付かれて、装備に備わっているんだろう同じ紋様の障壁が展開される。
仕方ない、先頭の人の脇をすり抜けて・・・って、あれ?あの声と、喋り方、どこかで?
バッ!
「「……!?」」
丁度虚空瞬動の移動が切れる一瞬、警備兵とすれ違い、目が合った。
兜の間から見えた顔は間違いなく・・・え、まさか・・・・夕映さん!?
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