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或る皇国将校の回想録
第一部北領戦役
第十一話 苗川攻防戦 其の三
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駆け抜ける。


同日 午前第十三刻 苗川防御陣地 側道方面後方約二百里
東方辺境領胸甲騎兵第三連隊第一大隊第三中隊 中隊長 ゴトフリート・ノルディング・フォン・バルクホルン大尉


 東方辺境領胸甲騎兵第三連隊第一大隊第三中隊を率いるゴトフリート・ノルディング・フォン・バルクホルン大尉は自身の危機にどこか達観した様子で分析していた。
 ――此方の部隊は既に200名を切り、私の指示も先程の砲撃で周囲の者を排除され、届かない。そして横腹を猛獣使いの部隊に突かれ、分断された我々は正面から部隊長らしき猛獣使いを先頭に250近い銃兵が前進しつつある。
猛獣の咆哮で馬が恐慌に陥り騎兵が振り落とされている者も居る中で我々は衝力を失い孤立している。

騎士は怯える馬を宥めながら周囲を見回す。

――猛獣使い達は明らかに実践慣れをしている、やはりあの夜襲の生き残り達か!

バルクホルンは忌々しい事実を認めざるを得なかった。
――奇襲時の猛獣使いは騎兵の天敵だ。

「集結!集結!」
それでも尚、バルクホルンは再起の為に最後尾の騎兵達を取り纏めに行く。
彼の従兵であり猛者であるアンリ・ロボフ軍曹が数名を従え駆け寄ろうとする。
その時
「――――!!」
将校らしい若者が三人の兵と二匹の猛獣を従え突撃してきた!!
さらに乱戦を行っていた猛獣使い達が集結しつつある。
それを邪魔する者は既に粗方いなくなっている。

「軍曹!状況は!?」
「我々の中隊は半壊し混乱に陥っております!
先行した第二中隊は銃兵部隊の突撃を受けております!」
それにこの部隊も前方は突破されつつある・・・。
だが、あの将校を討ち猛獣使いを突撃すれば何十名かは救える!

「何人動ける!?」
「20名・・・いや、30名いけます!!」
「よし!私に続け!残りは退却の許可を出せ!」
 後方の銃兵部隊の指揮官が部隊を引き連れ合流した。
 ――遂に突破されたのだろう。第二中隊は全滅したのか・・・。

 猛獣使いの将校であり、そして陣地の一方面を指揮している男こそがこの恐るべき部隊の中枢であると判断し、バルクホルンは決死の覚悟を決めた。
 ――ここで討つ!

「我に続けぇ!あの猛獣使いの将校達を討てばあの蛮兵達は烏合の衆だ!
征くぞ!帝国万歳!!」
 集結した33名の胸甲騎兵が吶喊する。
銃兵隊も予期していたのか小隊が横列を組む。
 ――不味い!
 バルクホルンが唸るのとほぼ同時に銃兵部隊の射撃で半数が崩れる。

「引き際を見誤ったか・・・えぇい!まだだ!まだ、終わらんよ!」

前方の銃兵達を槍斧で薙払い、部隊長の猛獣使い――新城に迫る。

「惜しかったが――これで、終わりだ!」
 千早が飛び掛かろうとするが――
「若
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