第十一話【プレゼントするべ】
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チェーンの先に指輪見たいのが二つ交わるように着いている。それが二つ。
光君のこんな物どこで買ったんだ?
ふと、時計を見るとまた九時を回っていた。
前みたいになると凛が可哀想だな。
「今日は家まで送って行くぞ。また、昨日みたいになるのは嫌だろ?」
それからでも十分に片づける時間はあるしな。
「って、どうしたんだ。さっきから俯いて? そんなにプレゼントが嬉しかったか?」
屈んで顔を覗き込んでみる。目と目が合う。凛の瞳が潤んでいる。
「凛、泣いているのか?」
凛は慌てて涙を拭く。うっさい。と一言言ってまた俯く。
「……懐かしかったのよ。大勢の友達に祝ってもらうの……」
そう言えば昔は、よく俺ら家族と凛の家族で誰かの誕生日が来たら、盛大に祝っていたな。
「良かったな。あんなに大勢で誕生日祝ってもらって」
「うん……。いい誕生日になった」
そっか。よかったな、凛。俺も頑張った甲斐があったよ。
少しの間が空く。
「……大地、私に一回しか誕生日プレゼントくれなかったね」
「確かに凛から色々もらったのは覚えているけど、あげたことはなかったかもな」
「一回、あったけどね。覚えてないか」
一回あったことすら覚えてない、一回って酷い男だな、俺。
「覚えてないな。なにあげたんだ、俺は?」
「……秘密」
そう言えば、今日も買ってきてないな。ずっと家の飾り付けとかしてたし完全に忘れていた。
「今日もあげてないな。明日の放課後買って来る」
「……ありがとう」
凛の言った、ありがとう。がどことなく寂しそうに感じた。
やかんのお湯が沸騰して蒸気が出る。俺は、火を止めに行く。棚に置いてあるミルクティーの粉をマグカップ二つに適量入れ、沸いたお湯を注ぎ込む。スプーンで混ぜて、ミルクティーを二つ作る。両手に持って、再び凛の方へ行く。ソファの前に一つを置き、凛の隣に座る。
「冷めない内に召し上がれ。ってな」
凛がそっと一口飲む。
「……甘すぎるよ」
そう文句を言って、また一口飲む。
☆
「さて、送るけど。どうする?」
凛は泣きやむと、片付けを手伝ってくれた。その御陰で直ぐに終わったけれど、その分凛の帰る時間が遅くなって現在、十時前。
「取り敢えずは聞きたいこともあったから、お母さんに連絡してみる」
凛の家と俺の家は言うほど離れていなく、比較的近くにあるから、送る事なんて朝飯前なのだが俺に気を遣って親に電話してくれるみたいだ。
電話を終えて、凛が近くに来る。
「おじさんが迎えに来るって?」
俺は個人的に送っていきたかった。その方が凛と少しでも一緒にいられると思ったから。
「迎えに来て貰えない」
「分かった。なら送るよ、俺も心配だから」
凛は悪いけど、少し得した気分
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