第九話【お祭り騒ぎ】
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
日曜か。なら、もう一眠りしよう。
布団の中に潜り込む。ドアが開き、母さんが部屋に入ってくる。
「大地、起きて。朝ご飯作ったから」
「母さん、まだ眠いから。朝ご飯いらないぜ、後少しだけ……」
「誰が母さんよ、バカ大地。早く起きて顔洗ってきなさい」
あっ! そうだ。昨日、凛が泊まっていたんだ。それに俺は一人暮らしか。……眠い。
「布団に逃げない。そんなに夢に夢中なんですかー? それとも昔の彼女との思い出に浸ってるんですかー?」
違う。と言って布団の中に逃げ込む。
「そう。なら、正直なパソコンさんに聞きましょうか?」
もう、勝手にどうぞ。メール、履歴なり、画像なり、なんなり確認してください。
「と思ったけど、パソコンはまた抜き打ちでしないと意味ないし。ちょっと、朝からにしては刺激的だけど……」
凛がエプロンをとって、近づいてくる。もしかして、と妄想するが現実は違う。凛は片足を天井に上げる。
「……踵落としでいいか」
また踵落としか、これで気を失ってゆっくり寝られ――
「はい、朝食。良かったね、暖かい状態で食べられて」
良くない、なにも良くない。いつも休みは朝食べないから、きつい。
「これも凛さんの踵落としの御陰さまです」
「皮肉をとやかく言われるのは納得できないわね。起きない大地が悪いんだから」
ははは、なんも言い返せねぇよ。
「そう言えば、昨日ね。お風呂入っている時に思ったんだけどね」
唐突に何をいいやがる。吃驚して口の中の物吐くところだったぞ。どうせ、湯船に髪の毛が沢山浮いていたとかだろ悪いな。
「お父さんが来た時に一緒に帰れば良かったなーと。それなら、全然危険じゃないし。車だから早く帰れるし。泊まる必要もなくなるよなーと」
「遅いよ! もっと早く気付よ!」
普通、来た時に気づくだろう。と呆れていると、そんなに居て欲しくなかったの? と捻くれる。
「別にそう言う訳じゃなくて、そりゃ、俺だって凛が居る方が賑やかでいいし嬉しいよ。でも、これとそれはまた別じゃん」
なに言っているんだよ、俺は。凛には他に好きな人がいるはずなのに……。
「そう。それはどうも、ありがとう」
大分、恥ずかしかったので慌てて食器を重ねて手を合わす。
「ごちそうさま。じゃあ、寝るわ」
凛にそう言って自室に立ち去ろうとすると、起きた時にいなかったら、スマホ見といてね。と言って凛は食器を片付ける。
「別に洗わなくていいぜ。起きたら洗うから」
「そう。嫌って言ったらどうする? 諦める?」
もう、勝手にしていいぜ。と言ってリビングを立ち去る。
結局、メールなしで電話も音沙汰なしと。まぁ、別に凛が勝手に帰ろうと知ったことじゃねぇしな。きっと、親父さんから呼び出されたんだって、うん。
「あれ?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ