第八話【夢はいいよね!】
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ら」
すると、部屋を見渡すのを止めておかずのないお盆を覗き込む。
「ホントだ! おかず入れるのを忘れていたみたいね」
態とらしく、大げさな反応をする凛。
「忘れるなよ。一番、大事なのに」
ごめん。と言って、丁寧に俺の部屋のドアを開けてくれる。お盆を持ってドアを出ようとした時、ある違和感に気付いた。
「凛、お前は降りないのか?」
「あっ! ご飯とかはリビングにあるから」
いや、俺は何処にあるかは適当に探すからいいとして、問題は夢の中の凛が部屋から出るか出ないかだ。
「凛はこれからなにをする気だよ」
夢の中の凛は部屋にあるノートパソコンを指して、そこのパソコンをチェックしようと―― と言い終わる前に手を引っ張って部屋から出してリビングまで連れてくる。
「急になにするのよ! 人のて、手を握って!」
夢の中の凛は握っていた。手を振り解き、外方を向く。
「わ、悪い。ところで何処にあるんだ?」
あっち。と外方を向いたまま指を指す。
夢の中にしては長いな……。普通、夢と言えばすぐに過ぎるような気が……。待って! もしかしたら寝言とか言ってないよな。これが学校で寝ていて、寝言で、凛――。とか言ってないだろうな! ああ〜、恥ずかしい。夢なら覚めてくれ。
「どうしたのよ。大地、顔真っ青じゃない? やっぱり、タバスコ入れすぎた?」
タバスコ? ……そうか! この禍々しい卵焼きが、この夢を脱するキーアイテムか!
箸を器用に使い禍々しい卵焼きを口の中に放り込む。………………。
「からぁぁぁぁぁいぃぃぃぃいいい! みずぅぅぅぅうっ!」
「一気に食べるからじゃない! ちょっと、待っていて」
凛がコップを持って、水を汲みに行く。
これでも、覚めない夢なのか………………ちくしょう。
「まだ、痛い。口元ヒリヒリする」
「ご、ごめん。ちょっと、タバスコ入れすぎた。つい悪戯心で」
急に謝られるとさっき、バカみたいに現実と夢の区別もつかなくて、キーアイテムだ。とか言って一気に食べた俺の立場が……。
「大丈夫、俺も調子乗りすぎたから」
「そ、それならいいけど」
もう、このことは俺の黒歴史の一ページになるから話題変えよう。胸が痛い。
「タバスコの卵焼きは辛くて分からなかったけど、他の料理は美味しかった。ありがとう」
って、のは嘘でタバスコ入りの卵焼きのせいで全く味が分からなかったんだよな。まあ、凛のことだし、うまいだろうから予想で言ってみたけど。
「べ、別に大地の為じゃないし、お母さんがどうしても、大地の様子見に行けって言ったから来ただけなんだからね!」
お、おう。どうしたんだ、急に? もしかして癇に障ったか?
どこが悪かった。やぱっり、嘘吐いたことか? と考えながら見ると凛は、疑われているのと勘
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