第14話 愛されし者
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としての経験』から、こうなのではないか、と考えて言っているだけに過ぎないのだが」
フィッシャー中佐の最後の言葉に、俺は自分の瞳孔が大きく開いたことを実感せずにはいられなかった。
士官学校首席卒の俺を、出世コースの基本である戦略部や防衛部、宇宙艦隊司令部の参謀本部などではなく、嫌われ者で猛者の集まりである査閲部に、あのクソ親父(=しつこいようだがシトレ中将)が横槍を入れてまで放り込んだ理由が、ようやく理解できた。
あのクソ親父は、俺の出世など幾ら遅れても構わないと思っている。むしろ早々に退役しろと思っているのは本人も言っているからそうなのだろう。だがどうせ時間がかかってもいいなら、彼らのような実戦経験豊富な勇者達から、その貴重な経験を学び、そして査閲官として経験を積んでこい、功績を挙げる機会と相殺で、と言外に言っているのだ。しかも戦場に出ることなく!!
「フィッシャー中佐」
俺は、最後の確認がしたくて、失礼な質問を中佐に投げかけた。
「中佐の、査閲官になる前の任地はいずれでしょうか?」
「……四年前。第二艦隊第一分艦隊の航法・運用担当士官だった」
中佐の答えははっきりとしていた。
「私は今まで君ほど『彼』に愛された新任士官を見たことがないよ」
そういうとフィッシャー中佐は再び紅茶カップに口をつけた。その穏やかな顔に、若干の気恥ずかしさ浮かんでいたのも間違いないのだった。
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