第14話 愛されし者
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いらぬ事をしてくれる。
「まぁ……宇宙艦隊参謀本部にはちょっとソリの合わない一期上の先輩がいるので、それを配慮してくれたのかもしれません」
「だが首席卒の坊なら統合作戦本部長も宇宙艦隊司令長官も夢ではないのに、初っ端から査閲部だからなぁ……下手したら中将まで行けないかもしれないぞ」
「それはないと思うよ、マクニール少佐」
俺の隣に座って、悠然と紅茶を飲んでいたフィッシャー中佐が珍しく口を挟んできた。俺とマクニール少佐が話している時は滅多に口を開かず、いつものように穏やかな表情で話を聞いているだけなのだが……
「ボロディン少尉は第一艦隊副司令官ボロディン少将閣下のご子息だ」
いきなり投下された爆弾発言に、マクニール少佐もフィッシャー中佐を見、そして俺を見る。俺が諦めて頷くのを見てから「おやまぁ」と呆れた口調で呟いた。というか俺も驚いた。何故今更それを言うのかと。
「……ん〜そうなると、ますますワケがわからんなぁ」
「あの、マクニール少佐……」
「なんだい、坊主」
「自分を戦死させたくなくて養父が人事に干渉した、とはお考えにならないんですか?」
小心者の俺がおっかなびっくり問うと、逆にマクニール少佐の方が目を丸くして驚いたようだった。
「坊主は自分の親父さんがそんなにも恥知らずな男だと思っているのか?」
「いえ、そうは思いませんが……」
「グレゴリー=ボロディン少将閣下はいずれ中将、大将になる人だ。そんな人が軍人となった自分の息子の命惜しさに不義を望むわけがない。息子の栄光ある将来も、自分のこれまで築いた名声も失うことになる」
グレゴリー叔父はマクニール少佐の言うとおりだろう。だが元凶は違えど、俺と同じような勘ぐりをする奴は多くいるに違いない。幸い、マクニール少佐はそういう勘ぐりはしなかった。「いい人」だとは思う。だが前世もそうだが、いい人は総じて世間に少ない。
「だからこそよく分からん。クレブス中将は人事部に掛け合った上で、配置を了承したらしいが……」
溜息混じりのマクニール少佐の言葉が、その日の夜まで俺の頭の中に残っていた。
それからさらに一週間が過ぎ、ようやく俺はフィッシャー中佐の手助けを得ず、情報の入力や訓練考課表の統計作成が出来るようになった。ちょくちょく添削は入るものの、形となった考課表を手に取り、俺はようやく給与分の仕事ぐらいは出来るようになったかと喜んだ。未だテンプレ集を手放せないのだが、それなりにホッとしたのも事実だ。フィッシャー中佐と共に本部ビル三〇階の食堂で昼食を取っている時、そのせいで油断していたのか、俺は中佐につい聞いてしまった。
「艦隊運用というものは、やはり訓練でしか鍛えられないものなのですか?」
原作における『艦隊運用の名人』はどうやってその運用法を
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