魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――5
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も結界魔導師の端くれだ。バインドの扱いなら負ける気はない。なのはを庇うように前に立ち、ありったけの魔力を絞り出す。
「ユーノ、お前……ッ!?」
クロノが身構えるより早く、何かが彼を吹き飛ばした。
『ヒャハハハハッ! いいねぇ、ユーノ、漢だねえ!』
それは、リブロムの魔法だった。バサバサと頁を羽ばたかせながら、大笑いする。
『そら、チビ。今が決断の時だぞ!』
そして、なのはの腕に収まり、告げた。
「うん!」
そう。今が決断の時。
3
「光!」
「アンタ、一体何を?!」
全身隈なく沁みわたる激痛の中で、フェイトとアルフの悲鳴が聞こえた。まぁ、今の自分はかなり悲惨な事になっているのは分かっていたが。
「いいから、早く封印に行け! さすがに泡食って飛び出してくるぞ!」
「う、うん!」
言っている間にも、上空に魔力の気配を感じた。数は三つ。うち二つは、よく知ったものだった。つまり、
(なのはと、リブロムか……!)
もう一人は、良く分からないが――それはいい。だが、そのあとを追うように、さらにもう一つの魔力が出現した。この世界で俺が知っている限り、他にこれほどの魔力を持っているのは一人しかいない。
「クロノか!」
何故かなのはを追いかける様にしている。それだけ分かれば充分だ。
「剣魔女の斬撃を!」
相棒から託された力を叩き起こす。あの魔導師は、近接戦闘を苦手とする。ならば、その間合いに飛び込む方が安全だ。何せこちらは代償に苛まれた身体を引きずっている。いくら不死の怪物とはいえ、これ以上余計な傷は負いたくない。
「光お兄ちゃん!」
なのは達――妹の傍には何やら見知らぬ金髪の少年がいた――とすれ違うようにして、背後に迫っていた魔導師を迎撃する。
「よう。当てが外れて慌てて飛び出してきたか? それとも計画を破たんさせられて頭に血が上ったか?」
どちらでも別に構わないが。どの道、ここで退場してもらうつもりだった。こちらとしても、もう時間がないのだ。
「ようやく焦れて飛び出してきてくれたんだ。逃がすと思うか?」
「クソッ!」
近接戦では分が悪い。そう判断したクロノが、間合いを開こうとする。が、逃がす気はない。残り時間も少ない。ここらで余計な障害は排除しなければならない。
何度目かの接触の果て、デバイスと妖刀がぶつかり合う。このまま押しつぶすつもりだったが――
「あまり僕をなめるなよッ!」
手に奇妙な衝撃を感じた。妖刀が不自然に悲鳴を上げる。
(高速で揺さぶられている?)
感触からして他に考えられない。となると少々厄介だった。
物には固有の振動数がある。それがかみ合ってしまった場合、巨大な鉄橋がただの風に崩される事もある。つまり、これはそういう魔法だ。その性質上、防御する
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