魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――5
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はっきりと覚えていた。
(ああ、思い出した……)
火花を見つめ、呟く。こんな時、魔法使いならどうするのか。それを――遥か遠い過去に刻まれたその生き様を思い出した。
そう。例え絶望的な状況であっても、それを脱する事は不可能ではない。……相応の代償を支払う、その覚悟があるのなら。
「光?!」
俺が何とかする――告げて、コンテナから飛び出した。相棒の位置は確認している。
「――遠く遠く天と地の狭間に生まれしもの」
銃弾の飛び交う中、禁忌の扉をこじ開ける特殊な魔力を練り上げていく。
「迫る災禍見据え慟哭響く前に終焉に挑め」
禁忌を冒す苦痛に、苦悶の声を止める事は出来なかった――が、身体から滲みだすその力は世界を侵し、黒く染め上げ、銃弾さえ捻じ曲げていく。
「やめろ! 何をするつもりだ!?」
相棒の叫び声が聞こえたが――そのまま魔力を高め続ける。
全身が燃え上がるのを感じた。全身を焦がした炎が、魔力を喰らって炎の巨人と化す。かくして禁忌は破られ、禁じられた術が蘇り――その力は全てを灰塵へと作り変えた。
……そして、俺はその術が禁じられた理由を痛感する事となる。
「光! このバカ野郎が……」
俺が覚えている相棒の最後の顔。見間違えでなければ、それは泣き顔だった。
2
『エマージェンシー! 海上に大型の魔力反応を感知!』
その日。何の前触れもないまま、事態は動きだした。
「ユーノ君!」
「うん。行こう、なのは!」
昼食もそこそこ、僕らはブリッジに向かって走る。大型の魔力反応。この世界でそんなものが生じるとなれば、まず間違いなくジュエルシードが関わってくる。つまり、
(光さん達も、必ずやってくる!)
あるいは彼らこそが原因かもしれない。だが、そんな事は関係ない。時間的なものも考えれば、これが最後のチャンスかもしれない。高町なのはと御神光が接触できる最後の。
絶対に。絶対に逃す訳にはいかない。どんな手段を使ってでも。
なけなしの覚悟を固めると同時、僕らはブリッジに飛び込んだ。そして、目撃する。
荒れ狂う海。それ自体が意思を持っているかのように蠢く竜巻。今にも雷を吐き出しそうな暗雲。全てを薙ぎ払わんばかり吹き荒れる風。
「ジュエルシードの……強制発動!?」
思わず悲鳴を上げていた。強制発動。それ自体も乱暴で危険な方法だが、この結果は最悪だ。発動しているのは、明らかに一つ二つじゃない。
自分でも信じられない思いで、視線を動かす。探していた情報は別の――エイミィの個人モニターに映し出されていた。
「残り六つ……。全部ここにあったなんて」
ジュエルシードの反応は六つ。つまり、残り全てが今目の前にある。そして、それが全て暴走状態にある。つまり、
(下手をすれば本当に次元断
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