東方
【短編】幻想郷がソ連に蹂躙される話
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ったが、嬉しそうに笑うフランをみて、彼女は幸せだった。
「あっという間でした。偉大なるソ連を建国してからは、もう無我夢中で」
「ふふふ、まさかここまで大きくなるとは思ってなかったけれどね」
しみじみと昔話に花を咲かす。
仕事の疲れが癒されるのを感じながら、自分の選択は間違っていなかったと再認識した。
その最中、水を差すような言葉が耳に入ってきた。
「あと、世界革命までもうすぐですね!」
「あー、同士フラン?別に、私はいまのままで満足しているわ」
「お姉さまは優しすぎます。資本主義の豚どもや、資本主義に魂を売った修正主義者という悪魔どもを粛清し、革命を輸出することで、いまこそ万国のプロレタリアートの楽園を作るべきです!」
思わず頭を抱えそうになった。
あくまでも、共産趣味者だったレミリアは、共産主義に幻想を抱いていない。
しかし、さすが史実で世界を二分した麻薬のような思想だけあって、共産主義に傾倒するものは多かった。
このソ連という共産主義によって栄えた大国があるのだから、無理もない。
無理もないが、妹が共産主義にここまで傾倒するとは、予想外だった。
KGB・MVD長官として辣腕をふるう彼女は、過激派の元締めになってしまったのだ。
事あるごとに過激な主張をするようになったフランドールを見て、レミリアは、ひっそりと涙を流した。
◆
「最近、外からの妖怪が多いわね」
博麗霊夢は、縁側でお茶を飲みながら、のんびりとしていた。
「ああ、『拉致だ』とか『国に返せ』とか言う連中ばっかりだよな」
つぶやきに答えたのは、とんがり帽子をかぶったいかにもな魔女、霧生魔理沙である。
ここ最近、幻想郷に入ってくる妖怪が急増していた。
外と内を隔てる博麗大結界の維持に関わる霊夢は、嫌な予感がしていた。
「外の国、えっと、なんだっけ」
「『ソビエト社会主義幻想共和国連邦』だってさ」
「そうそう。よくそんな舌をかみそうな名前を憶えているわね、魔理沙」
「里に行ったとき、外来人に聞いたんだ。なんでも、人妖が共存している珍しい国らしい」
「勝手に国民を浚って大丈夫なのかしら」
「だめだろ」
人間と妖怪が暮らす楽園。
それが、幻想郷であり、霊夢は、「楽園の素敵な巫女」の役割を担っている。
すなわち、幻想郷を守ることが彼女の仕事といえた。
幻想郷が危機に瀕しているような予感が、ずっとするのだ。
突然増えた外の妖怪。これが原因かもしれない。
「その通りですわ」
「うおっ、びっくりした。突然出てくるなよな」
「何の用かしら、紫」
突然、姿を現した
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