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東方
【短編】幻想郷がソ連に蹂躙される話
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」だと思わせるのだ。
 そのような裏事情など知らず、今日も世界は、ソ連を、妖怪を、恐れている。
 いつか世界が革命されてしまうのではないか、と恐怖するのだ。
 恐れを食べた妖怪は力を増し、強くなった妖怪をさらに恐れる。
 そんな、好循環が出来上がっていた。


「お姉さま、また妖怪の失踪事件が発生しました」


 扉を開けて、クレムリンの執務室に入ってきたのは、10歳ごろの容姿で、背中の羽に無数の宝石を下げた少女。
 500歳を超える吸血鬼、フランドール・スカーレットKGB・MVD長官である。


「はあ、またなの?私たちソ連に喧嘩を売るなんて、いったいどこの誰かしら?被害者が、無事に帰ってきているのだけは、不幸中の幸いね。記憶を失っているけれど」


 フランドールに答えるのは、ソ連のトップ、レミリア・スカーレット書記長である。
 妹のフランドールを猫可愛がりしている彼女は、妹の姿に目を綻ばせるも、すぐに、きりりとした表情を作った。


「あなたたちKGBでもわからないのね?」

「ダー(そうです)。目撃者が大勢いる中、こつ然と姿を消すそうです。おそらく、何らかの魔術によるものだと思われますが、痕跡が残されておらず、調査は難航しています」

「同士パチュリーは何て?」

「転移魔法とはまた違うようだと言っています。いま、現場を回って詳細な調査をされています」

「そう、ありがとう。苦労をかけるわね」


 苦笑しながら、ねぎらう。


「ニェット(いいえ)。そんなことはありませんわお姉さま。いまの仕事には、やりがいを感じています」



 ふわり、と笑いながら頼もしい言動をするフランドール。 
 フランも立派になったわね、と、レミリアは、訳もなく嬉しくなった。
 泣く子も黙るスパイ機関である国家保安委員会(KGB)と秘密警察を擁する内務省(MVD)の長官である。
 治安、諜報活動を一手にになっており、レミリアに次ぐ権力をもっている。
 少しでも彼女の機嫌を損ねれば、ルビヤンカの地下送りかシベリアに流刑にされるといわれ、恐れられていた。
 とはいえ、あまり粛清しすぎないように、レミリアは気を付けるようにしている。

 そのフランドールは、生まれたときから強力すぎる能力を持っていた。
 さらに、悪いことに狂気におかされてもいた。
 両親は、そんな彼女を殺そうとした。だから――


「もう、家を出て500年かしらね」


 ――家出した。フランドールを連れて。
 楽な旅路ではなかったが、妹とともに根気強く狂気を抑えようとした。
 旅の途中で仲間になった魔女パチュリー・ノーレッジの協力を得て、やっと日常生活を送れるようになったのだ。
 100年以上かか
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