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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
終幕 「さようなら、間違IS」
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の姿は図体の所為か異様な圧迫感を醸し出していた。
はっきり言って不味い状況だ。あのISが市街地の攻撃を最優先にしている訳ではないから足止めできているが、逆を言えばあの3機はこちらを行動不能にするまでいつまでも戦うだろう。火力と装甲ではあちらに分がある。装甲が厚ければその分絶対防御は発動しにくくなるが、そもそも人を必要としない無人ISに絶対防御の発動が起きるのかも眉唾だ。
清浦が黒田に耳打ちする。その表情は決して明るくはない。
「どうします副隊長?このまんまじゃプロレスになっちゃいますよー?」
「そうは言うがな・・・あそこまで硬いと集中攻撃で壊せるかも怪しいもんだ」
清浦の言うプロレスとはIS同士の消耗戦のことだ。互いに決定打を欠いたまま戦闘を続行し、どちらかが根負けするまで続く泥仕合。ことISはバリアエネルギーの所為で戦いが長期化しやすい。そしてプロレスになれば、そのバリアエネルギーの消耗が少ない方が勝つ。今この状況下に置いては――おそらく敵側に軍配が上がるだろう。
せめてもう一機。向こうのISの装甲を貫通するだけの装備があれば――
そう考えた刹那、加藤が通信。
「副隊長!戦闘宙域にIS反応!認識コードは更識のものです!」
「援軍か?通信回線を――」
『もう繋げてるぜ、副隊長さん!こちら学園所属IS”夏黄櫨”、吶喊させてもらう!!』
その途端、レーダーが捕捉した機影が、爆発的な速度を以て一気に3機の合間を駆け抜けた。
「「「ッ!?」」」
そのISは太陽の光を浴びて煌めく白銀の装甲を晒し、その手に持ったハルバードを肩に構えて飛び――
「時間がないんでな・・・一発で沈みやがれぇぇぇッ!!!」
真正面から音速を超えた速度で振り下ろされたその刃が、一撃のもとに敵ISを「両断」した。
どうやら人間の介在しない無人機には絶対防御が存在しないらしいことは分かったが、それでも80口径の弾丸を装甲で弾くような堅牢さを誇るその装甲を、障子を破るように両断するなど――あり得ない。
崩れ落ちる敵ISを一瞥したその青年は、振った刃を肩にかけて残り2機を睨みつける。2機のISのAIは、どのような攻撃によって突如僚機の反応が消失したのかを判断しかねたように動きが鈍っていた。残った2機をねめつけるように、牙を剥いた。
「ベルをそのまま連れて行かせる訳にもいかないし、お前を放置するわけにもいかん。さっさと片付けさせてもらうぞ?」
普段は軽い口調で戦うジョウの背中からは、普段は感じられない濃密な闘気が溢れ出る。
一刻の猶予もない今、本気の瞳がそこにあった。
= =
ゆらり、ゆらり、交錯線が揺れる。
虚ろなるものが、這い出る。
『現れるか、白き月の末裔が』
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