夫になった訳だが……どうしよう?
56話
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生態によって、圧倒的に戦闘経験が足りないのだ。
それ故、キュウビは力押しの攻撃が多いので、動きを見切ってしまえば対応するのは容易い。
爪を右腕で受け止めつつ、左脚でキュウビの首目掛けて回し蹴りを放つ。どうやら最初の一撃で左眼に何かしらの問題が発生したらしく、蹴りはそのままキュウビに直撃しそのまま転ばせることができた。
が、キュウビは倒れて体勢を崩した瞬間に再び爪を振るい、俺の胸を切り裂いた。幸い傷は浅いものの、その一撃を受けて俺の中では嫌な予想が立った。
できれば杞憂であることを願いたいが、仮にもしそうだとしたら今すぐにでも倒さなければかなり厄介な事になる。
「マキナ、これは一撃必殺する気じゃないとマズイよ」
「……予感は的中ってことか?」
「残念ながらね。明らかにオラクル細胞の動きが最適化され始めてきてるし、この短いやり取りでも戦闘経験に関しての成長もかなり早い。
このまま放っておけば本当に手が付けられなくなるよ」
……レトロオラクル細胞万能すぎるぞ!!経験値の蓄積すら早いってどういうことだ!?
「愚痴ってもどうにもならないよ、マキナ」
「だよな」
さて、まだイザナミの方の手はあまり晒していない分、可能な限り俺が注意を引いて彼女の攻撃を必中させられるような状況に持ち込むしかないな。
となると……至近距離で殴り合って嫌でも俺を見させるか。幾らか打撃に耐性をつけられただろうが、完全ではない筈だ。どれだけ防御が完璧だろうが、衝撃を完全に殺すのはほぼ不可能だ。
仮に完全に殺すような防御になっていれば、それは衝撃を和らげるために柔らかくなっている。つまり、その分イザナミの攻撃は通りやすくなる。
結局のところ、俺のやることは変わらないんだがな。
というわけで、起き上がったキュウビに正面から挑む事になった。回り込んでどうにかしようかと思ったが、また光弾を撃たれるのは厄介なのでやめておいた。
まだ攻撃はキュウビに当たっているが、所々防御や回避を行うようになってきた為にダメージを削られているのは確かだ。
「マキナ、退いて!!」
イザナミの声を聞き咄嗟に飛び退くと、上からドリルのような形状の杭がキュウビ目掛けて飛んできた。キュウビも直前で気が付いたのか致命傷は避けたものの、前足と尻尾に何本か刺さっている。
それを見たイザナミは俺に呟いた。
「マキナ、逃げる準備をして。これ以上相手にするのは色々とマズイから」
「……目的は果たせたのか?」
「うん、なんとかね」
「分かった、じゃあ逃げるぞ」
俺達は踵を返して元来た道を引き返す。当然、キュウビがそんな事を許すはずもなく後ろから怒りの咆哮は聞こえてくる。
が、すぐにその咆哮は絶叫に変わった。不審に思い、視線を後ろに向けるとキュウビの前足と尻尾が千切れ
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