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無欠の刃
下忍編
支障
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はずの席の方を振り返る。
 そこには、誰もいない。
 いたと思っていたという存在がいない、それだけの事実なのに、彼らは動揺する。
 試験官たちもまた動揺するが、すんでのところで表情に出すのを耐えたイビキは、はっ、と笑う。

「カンニングでマイナスされたいか」
「私の術、見抜けなかったのに、よく言える」

 くすくすと微笑したカトナに図星をつかれたイビキは、けっ、と内心で悪態をつきながら、生徒たちの様子を見回す。
 極度の緊張状態、張りつめた空気、自分より力があるもの視線、監視されているという状況。
 最適にそろっていた筈の材料が、たったひとりの子供に崩されてしまったことに不満を感じつつも、イビキはカトナを睨み付ける。

 「質問」

 その視線を意にも介さない、カトナのよく通る声が響く。イビキは、少しだけ珍しそうに目を細めた後、続きをうながす。

「『木の葉』での、中忍試験の、受験資格? それとも、他里、含める?」
「他里もだな」

 その言葉に、木の葉以外の下忍が、ちっと舌を打つ。
 自分達だけでも免れると思っていたらしい。なんて奴らだと、木の葉の下忍は非難の視線を一斉に向けたが、彼らは全く気にしない。大抵の人間なんてそんなものである。
 カトナはそんな周りの様子を無視し、手に入れた情報をふむふむと確認していたが、やがてイビキの目をまっすぐに見つめる。

 「じゃ、追加」

 そして、カトナは、本当に不思議そうに首をかしげて、問うた。

「中忍で何か問題があるの?」
「…と、いうと?」

 その質問に、イビキは少しばかり顔をしかめる。自分の考えていた計画が、音を立てて崩れていくのがわかる。カトナはちらちらとみてくる視線に、どうしたもんかと思いながら、頭をふらふらと揺らしつつ、ナルトの腕から手を離す。

 「私は別に、上忍だろうが、中忍だろうが、下忍だろうが、実力を示せればどうでもいい。階級で何か不便でもあるの?」

 その言葉に意表を突かれたらしい周りが、カトナに注目する。

 「それで、私が弱くなるわけじゃないし、私が大切な人を守れないわけじゃない」

 弱くならなければそれでいい。守り続ければ、何の支障もない。
 カトナにとって中忍になれないことは、なんのデメリットにもならない。

 「だから、特に支障はないと思ってるんだけど…。なにか、他に駄目なことがあるの?」

 カトナは本当に不安そうにそう言うと、周りを見回す。全員が彼女のその言動に呆気にとられていたが、カトナは逆にそれを戸惑いととらえたらしく、必死に言い募る。

 「収入ならほかで稼げばいい。名誉なら人を助ければいい。地位ならば死ぬ気でつかめばいい。何か、支障ってあった?」

 不思議そうに言うカトナ
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