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乱世の確率事象改変
覇王居らずとも捧ぐは変わらず
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 ゆらゆらと揺らめく蝋燭の灯は心のカタチを表すかのよう。
 静寂が耳に響く軍議場。集まった者達はそれぞれが表情を重く沈めていた。漆黒と白銀の二人を除いて。
 目を細めて思考に潜る秋斗は微笑みを携え、月はキョトンと目をまぁるく、瞼を瞬かせる。

「劉表が直接動くなんて……」

 ぽつりと零された詠の一言に、先程の伝令からの報告を思い出していく。

 劉表と陳宮が華琳に謁見し、その結果、劉表と華琳が帝への謁見の為に洛陽に向かうとのこと。
 官渡到着までの日数は半月以上は掛かるであろう。その間の軍権最高責任者は春蘭、副責任者としては秋蘭と風、稟の三人とする……そんな内容。
 秋斗と朔夜は客分の身。黒麒麟の大きすぎる名声によって、兵の士気向上の為に華琳の名代として準備の責を預けられてはいるが、こと戦となれば曹操軍でも覇王の片腕たる春蘭が担うのは当然であった。朔夜は秋斗の御付きの文官であるのだから、月や詠のような侍女と扱いは大して変わらない。
 春蘭の頭の良し悪しの問題は、詠と朔夜を含めた多角的に頭脳を回せる軍師達四人がいる分、その意を汲み取る為に指示する者は誰であろうと関係は無く、秋蘭と秋斗、霞の三人が居れば、突撃思考の強さから来る暴走を抑える事も容易い。
 まあ、暴走する事など、日常時ならまだしも、華琳に戦を任された時の彼女がするはずも無い。仕事を任された以上、その期待を裏切るとは忠義に反すると同意であるのだから。

 のんびりと月の入れてくれたお茶を啜った秋斗は、緩く吐息を静寂に溶かした。

「どうせ曹操殿がいようといまいとする事は変わらんだろ。戦うのは兵、率いるのは将、操るのは軍師なんだからさ」
「あ、あんたねぇ……そんな簡単に言っていい事態じゃないのよ?」
「華琳様が、居ないとなれば軍務の負担は増え、敵方の士気は上がり、早急な決断が遅れてしまいます」
「せやで兄やん。ウチら曹操軍の兵の士気も……て、なんで月も不思議そうなんや?」

 首を傾げている月は三人から訝しげな瞳を向けられる。
 秋斗を見上げて目を合わせると、話してみたらいい、というように微笑みながら頷かれた。

「……私は“彼女”からの信頼の裏返し、と取っていたんですが……。
 緊張を齎しながらも兵の士気は期待された事で上がり、王の不在に敵方の行動を逸らせ思考を限定し、軍務に於いても……これより先にもっと大きな戦が行われる事を踏まえて、経験を積むという意味合いを込めてではないかと……」

 静かに、柔らかな声は耳に心地いい。その内容さえ、戦事でなければ。
 嘗ての月は“戦場に立たない王”であった。だから、華琳が居ないという状況にも別段不安を感じていない。自分がしてきた事を華琳もしているだけだ、と。
 真桜は気付かず感心したように頷くも、月の最
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