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乱世の確率事象改変
覇王居らずとも捧ぐは変わらず
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取り掛かった。
 一つは白馬。連合終了時から事前に防衛準備を整え始めていた為に、物資の集積は最低限に留める事が出来ていた。
 一つは延津。黄河付近に陣を構えた。此処も事前準備を進めていた為に、真桜が赴いた事も理由の一つではあるが、そこまで手間暇は掛からなかった。
 遊撃隊として複数の部隊を二つの地と官渡の間で動かし、不意打ちで攻めて来られようとも対応できるほど。
 一日、二日……と時が過ぎて行く内に、その報は届く。

 それは彼と彼女達が待ち望んだ、袁家からの宣戦布告であった。
























 〜白銀の少女が気付くモノ〜




 夕暮れの空は美しく、蒼と橙が綺麗に入り混じっていた。
 懐かしい……と感じながら見上げていると、隣で同じように空を見ていた彼がため息を零す。

「前にもこうしてあなたと藍橙の空を仰いだ事がありました」

 詠ちゃん達も一緒でした、とは言わない。言わなくても分かってる人だから。

「そっか」

 短く、彼はそれ以上は何も言わずに見上げ続けている。
 最近は人が増えた為に、朝の鍛錬も無くなった。秋蘭さんが重要拠点に向かったから、高度な鍛錬も出来ない。少し寂しいけど、この軍の現状は分かってるからわがままはダメだ。
 こうして二人きりで会う事も少なくなった。私は侍女仕事、彼は兵との交流や道具の作成に勤しんで忙しい。
 前までは毎日少しの時間だけ二人きりで会えていた。慣れてしまっていたんだろう。
 こうして久方ぶりに二人きりになれた事で嬉しい気持ちが胸を染め上げる。反して、浅ましいと自嘲も込み上げる。
 ふるふると、頭を振るって追い遣った。感情を平坦に、二人きりで会う時間で何か少しでも話さなければならない。
 話さないといけない事は、ある。
 ずっと聞いておきたいと思っていた事があった。

「この戦で……あなたが手に入れたいと思っているモノは……」

 唐突に零してみた。
 つらつら、つらつらと感情を込めずに。
 予想では無く確信。きっと彼なら、否、彼と“彼女”ならコレを望む。そう、信じていた。
 彼は笑った。嬉しそうに、哀しそうに。

「クク、ゆえゆえは気付いちまったのか」

 笑みを携えながら、漸く向けてくれた瞳は昏い色に染まっていた。懺悔と思いやり。まるで……昔の彼のよう。
 小さく頷くと、彼は泣きそうに見えた。今にも謝りそう、でも、謝らないのも彼。

「ゆえゆえには、さ。えーりんと霞の事を頼めるか?」

 彼女達を支えてくれと、そう言ってる。彼は私を頼ってくれていた。
 ドクン、と胸が大きく高鳴った。

――それだけで……こんなに嬉しい。

 心に溢れるの
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