番外伝
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現れた二人の下士官に、彼女――ヒナ――はため息を漏らし、電伝虫の回線を閉じるのだった。
彼女の目に映るのは目の前で騒ぐ二人では、決してない。
麦わらの一味の3人が賞金首となった。
船長、麦わらのルフィが一億ベリー。
戦闘員、海賊狩りのゾロが六千万ベリー。
食料調達員のハントも同じく六千万ベリー。
ルフィは2度目の、ゾロとハントに至っては初頭の手配でこれだけの高額となったことにはもちろんそれぞれがそれだけの海賊だと評価されたからであり、ルフィとゾロがそれに対して喜ぶのは目に見えており、本人たちからすれば嬉しいニュースとなるはずなのだが、如何せん海は広く、場所によってそれだけその知らせが届く時間がずれることとなる
ましてや海のど真ん中を行く麦わら一味に至っては尚更だろう。
麦わら一味にとっての朗報……という表現が正確かはどうかとして、ルフィとゾロにとっての朗報が彼ら自身に届く前に各地へと賞金首となったというニュースは届く。
それは例えば――
「ベルメール! ノジコ!」
「どうしたのよ、ゲンさん。血相変えて」
――ハントの故郷、ココヤシ村。
「ここ、これを見ろ!」
村の駐在、ゲンゾウが手に持った一枚の紙をベルメールとノジコへと突きつける。
そこに写っているのは一人の青年。
もちろん、ゲンゾウもノジコも、ベルメールも知っている。
ゲンゾウが来ている駐在服の上から灰色の甚平を重ね着して、黒い瞳と短い茶髪。それら一切をずぶ濡れにして、どこか穏やかに微笑むハントが『海坊主ハント』としてそこに映っていた。なにも知らない女性が見れば軽く興味を引いてしまうかもしれないほどに、好青年を思わせる表情で、ゲンゾウが知っているハントの表情のどれでもない。
これがハントではないことに一縷の望みをかけて、家族である二人にこの手配書をゲンゾウは見せに来ていた。明らかにその慌てぶりを見ればハント本人だとゲンゾウもわかっているはずなのだが、写真の下に載っている6千万ベリーという賞金がゲンゾウの想像できる額をはるかに超えていてそれがどこか非現実性を彼に与えているのかもしれない。
とにかく息を切らせて、ただひたすらに慌てた様子をゲンゾウは見せるのだが、ハントの手配書を見たノジコとベルメールの反応はそれとは対照的なものだった。
「……」
「……」
「……お、おい?」
反応がない。
顔を俯かせて、何かをこらえるかのようにぐっと息を呑みこんでいる。
――しまった。
そこで、ゲンゾウは己のミスに気付く。
確かにハントは海賊になることを自ら望み、海賊となってこの村と島を出て行った。だが、だからと言ってそれで海賊になってしまった家族のことを、残さ
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