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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十話
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言ったのも理解ができた。

 苦笑するのはシリカ/綾野珪子と、キリトの妹、リーファ/桐ケ谷直葉だ。

 澄ました顔でため息をつく眼鏡の少女は、シノン/朝田詩乃。その隣に座るもう一人の眼鏡の少女は、記憶にあるその姿よりも幾年か年ごろのような気がするが、恐らくカーディナルだ。

 ユイ以外の全員が、この学校の制服を纏っていた。サーティの方のアリスは分かるが、シノン、リーファ、そしてツーベルクの方のアリスとユージオは、そもそもなぜこの場にいるのかすら理解できない。

 だけど、その光景を見ているうちにキリトの心の中にはほんわかとした温かいものが広がってきた。いないはずの人物がいる。そんな些細なことなどどうでもいい、と思ってしまえるほどの優しさが、この場所にはあった。

「あ、ああ……ごめんごめん」
「まったく……みんな聞いてよ、キリトったら教室で熟睡してたんだよ?」

 ユージオと共に、小走りでみんなに近づく。料理のいい匂いがしてきた。

「ちゃんと見てなかったユージオも悪いのよ!」
「ご、ごめん……」

 ツーベルクの方のアリスに叱られて、ユージオが首をひっこめる。キリトにはアンダーワールドに置いて、アリス、ユージオと共に、三人で過ごした記憶はない。だが、妙に懐かしい感じがするのが心地よかった。

 この世界のアリスたちは双子、という事になっているらしい。キリトの知っている世界では会話したことすらないだろうツーベルクのほうのアリスやカーディナルとも、アスナ達は楽しげに会話をしていた。

 ふいに、キリトの中で何かが揺らいだ。

 ああ、もうこのままでいいかもしれない、という安息感。だってここには、自分の望んだすべてがあるのだから。失ったはずの人たちがいる。ありえなかったはずの光景。だけど、そこにあるすべてが最高の幸せだ。

 このまま、此処で永遠に暮らしていきたい。そんな渇望が、鎌首をもたげる。

 
 ――――ああ、だけど。

 
 そんなわけにはいかないのだ。

 もしかしたら、少し前のキリトなら、ずっとここに居たいと思って、その通りに行動してしまったかもしれない。これから戦うのは、絶望的な強さをもった敵だ。決してかなうわけがない。だが今、この、最高の幸福をみたキリトなら、彼らのために立ち上がれる。

 この世界は、恐らく《白亜宮》が見せた幻なのだろう。ならば彼らは、キリトを奮い立たせるためにこの夢を見せてしまった。

「悪い、みんな」

 キリトが声を上げると、少女たちとユージオは、不思議そうにこちらを見た。

「俺には……行かなくちゃいけないところがある、やらなくちゃいけないことがある。だからもう、此処にはいられない」

 キリトが覚えている限り最後の元の世界の記憶は
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