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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第11話 卒業
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層部が戦史研究科の廃止を決定したのなら、軍人である君はそれに従わなければならない。感情を抜きにしてそれは分かるな?」
「……はい」
「ここは戦場ではなく、士官学校であり教育機関だ。生死を一刻一秒で争う場ではなく、候補生に教養と能力を与える場所に他ならない。その教育機関が特定の科目を軽視するような判断を決定するのは問題ではないか、と『上申』するのは、軍組織上における命令違反には値しないと思う」

「……なるほど」
 しばらくの沈黙の後、ヤンは苦笑していた。
「『上申』するのは問題ではない。ということですね?」
「時と場所と事案によるが、な。一度下された決定には従え。その上で来年・再来年と上申することは、間違いではないし、軍法上も問題ないだろう」
「よく分かりました。では反対の署名は……頂けませんね」
「挑発する相手を間違えるからそうなる。普段から言葉遣いには気をつけろよ」
 俺が組んだ手の上に顎を載せ、目を細めて応えたのを見て、ヤンは済みませんでしたと素直に頭を下げた。

「ちなみに、どの科に転属することになった?」
「戦略研究科です。教官から秀才揃いの学科に転属出来るのは滅多にないことだと言われましたよ」
 ここも原作通りか。俺は溜息をもらすと組んだ手を解き、背を椅子に深く押し込んだ。
「俺の後輩になるんだったら少しくらいは喜べよ」
「大変不本意です。もうすこし心優しい先輩を持ちたいと思いましたが」

 俺は無言で空になった紙コップを握りつぶすと、ヤンに向かって放り投げた。空気抵抗が大きかったのかそれほどの速さは出なかったが、ヤンの運動神経の鈍さのお陰で綺麗に額に命中する。その仕打ちにヤンは抗議することなく苦笑しつつ、潰された紙コップをポッケにしまい込んで敬礼すると、俺の前から立ち去った。

 ヤンの姿が完全にカフェから見えなくなると、俺はもう一度深く溜息をつかざるを得なかった。

 おそらくシトレはヤンやラップの抗議行動に関して、表面的な罰を与えるだけに止めるだろう。原作を思い出すまでもなく、シトレはそういう行動を高く評価する教育者の面がある。ヤンの素質もワイドボーンの一件以来、シトレの注視するところだろう。ワイドボーンも含めて、ここまでは原作の流れを大きく破壊してはいないはずだ。

 ヤンがエル・ファシルで英雄的な行動をして以後順当に昇進し、第七次イゼルローン攻防戦で要塞を奪取してくれるところまで進んでくれればひとまずは重畳。ヤンの総合席次が原作よりも三〇〇ほど上昇しているが、統合作戦本部に囲い込まれるような超エリートになるにはかなり不足だし、おそらく卒業時に提出する希望配属先に戦史編纂室とか平然と書いてしまうだろうから、その希望は間違いなく通るだろう。

そしてイゼルローン要塞陥落前に、戦線でウロチョ
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