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【SAO】シンガーソング・オンライン
SS:はじまりの思い出
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ーとしてね!」
(やっぱ本気だったのか・・・何か断る言い訳考えとかないとな)

俺と彼女の話場所は、知り合いたちが俺の為にあてがったプレイヤー用の小屋だ。
中には楽器類と最低限の家具くらいしか物が置いていないが、外でライブが終了した後はここで彼女の相手をするのが通例になっている。
なし崩し的にバンドメンバー化した彼女だが、今更正面切ってメンバー拒否すると間違いなくその情報が元攻略組に流れるだろう。
すると奴らは何故か俺に猛抗議してくる。一応俺なりに理由を言って納得させようと努力したいが、恐らく若者の勢いに押し流されるだろう。
一体この子がどういう存在なのやら、未だに理解しかねる。

そも、俺にアルヴヘイム・オンラインを半ば強制的にプレイさせているのは連中である。
とてもじゃないが、俺ごときが勝てる気がしない。だから出来るだけ当人である彼女が納得できる形で・・・いや、いっそフリーで活動するから解散とか?

だが思案を巡らす俺とは裏腹にユウキの方はなかなか喋らない事に業を煮やしていたようで、ウィンドウから取り出したエレキギター的な楽器を抱えた。
その目は不満全開と言わんばかりである。
これは不味い。機嫌を損ねてしまったらしい。

「はーなーしーのー続きぃぃ〜〜〜ッ!!!」
「うおおおっ!?」

ギュヴォオオオオオオオン!!とけたたましい音を立てて楽器が唸りを上げる。
魔法の世界のくせに完全にエレキギターなのは俺の気の所為なのか。
最近「ドラムは一々取り出すのが面倒」という事でギターの練習をしているユウキは、自分の不満を言葉ではなく旋律に乗せて飛ばしてくるのだ。出鱈目に弦を押さえて弾きまくり、アームを使って音をギュンギュン歪めまくるその様は暴君のごとし。

出鱈目に演奏しているように見えるが、実はデストロイギターとか呼ばれる超マイナーな演奏法である。一体どこで覚えてきたのやら。
演奏中に行儀悪くギターを蹴るのが習わしなのだが、実演するとパンツが見えそうになることが発覚して慌てて止めさせた。その時も顔を真っ赤にしてこんな音を・・・・・・くう、何という音量だ。

「わかったわかった!!話すから止めてくれ!!」
「・・・・・・反省してる?」
「俺が悪かった。反省してる」
「なら許す!僕は心が広いからね!」

ふふん、と鼻を鳴らして尊大な態度を取る年下の少女に平謝りする大人。
ころころ表情の変わる子だなぁ、などと考えつつ成人として少々情けない気分になった。



 = =



「なんやジブン、何そんな所でノンキに歌っとんねん!」

確か第1層が攻略されたその日のこと、俺の前を通りがかったそのプレイヤー集団の一人――もやっとしたボールみたいな頭の男はこっちを見るなりいきなりの喧嘩腰で迫って
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