可愛いは正義。だけど化粧で作れる
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後、珠希は着替えを手に持って部屋を出た。
そしてお風呂上がり――。
「まだやってるの?」
珠希がタオルで髪を拭きながらリビングに戻ってくると、一続きになっているダイニングではまるで粉薬を飲む子どものようにちびちびと苦い顔を浮かべながら細切りのピーマンを口に運ぶ彩姫と、それを取り囲む暁斗と結月がいた。ここの大樹がいないとなると、仕事の関係で一旦自室兼仕事部屋に戻ったのだろう。
「もう少し、もう少しだから」
「あうぅ……。口の中が苦いよぉ」
「頑張ってよお母さん! このままじゃ本気で晩ご飯が野菜尽くしになっちゃうよ!?」
「それは嫌ぁ。でももう無理ぃ」
暁斗や結月の励ましもむなしく、大嫌いな細切りピーマンと格闘する彩姫は箸を咥えて涙目になったまま動けないでいた。
本当に何やってんだ? このダメ母とダメ家族は。
せっかくお風呂に入って身も心もすっきりしたはずが、さっそく珠希の頭で頭痛の種が芽吹き始める。
「そんなに苦いならもう醤油でもソースでもケチャップでも好きなの使って食べたら?」
もうこいつらと関わり合いになるのはよそう。
その意味合いもかねて、珠希は飲み忘れていたフレーバーティーを取るついでに冷蔵庫からソース、ケチャップ、マヨネーズに焼き肉のタレまで取り出し、彩姫の前に並べた。
「あ、そっか。その手があったか」
「さすがおねーちゃん!」
「いいから食え。後片付けが終わらないし、デザートが食べれない」
そう言うと珠希は部屋から持ってきた愛用のタブレットを開き、ゲームアプリを立ち上げる。ブ○モ! などと元気な声を上げるタブレットを操作し、珠希は軽くゲームを始めることにした。
「ねえ、おねーちゃんはどこまで進めたの? それ」
「暇潰しにやってる程度。基本的にイベ以外回さないし」
ゲームを開始する前にLPやらのステ確認をしながら珠希は結月に答える。
とはいえ、高校3年生の夏にそんな暇があるかという指摘はこの際明日の燃えるゴミと一緒にして捨ててしまおう。
「でもさ、おねーちゃんってソシャゲだとかなり効率厨だよね」
「必要以上な課金はしないのがKKEよ」
「おねーちゃんの場合、KKTだよね?」
「そんなのはどーでもいいの。あ、お母さん。あたしが1曲終わるまでピーマン食べきらなかったらデザートも抜きね」
「え〜っ!? そんなのないわよぉ」
「じゃあ早く食べる!」
「とか言いつつさりげなくスマホいじりながら片手でソ○ゲEXかよ」
「ちょ! おねーちゃん!? どんだけやりこんでんのよ!」
「今が勝負なんだから仕方ないじゃない」
そもそも、結月や暁斗に話を脱線させられそうになったものの、珠希が今話題に持ってきたいのはL
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