可愛いは正義。だけど化粧で作れる
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まおうかと思えてきた。
「……いただきます」
もう怒るのもいい加減飽きた珠希は結局、盛り上がる家族を無視して自分の分だけご飯を盛ると、そのまま静かに晩ご飯に手を付ける。
余談だが、母親の取り皿にはピーマンだけをこれでもかと思うほど盛りつけてやった。
☆ ☆ ☆
「ごめんなさい珠希ちゃんっ」
「すまんかった。珠希」
「いやー、なんか申し訳ない」
「マジごめんって。おねーちゃん」
食事後、自室に戻ってPCを立ち上げてメールなどのチェックをしていると、珠希の部屋の外から両親と兄、妹の謝罪が聞こえてきた。
何しろ家族がお○ぱいマウスパッドから現実に目を向けたとき、そこに既に珠希の姿はなく、茶わんや湯呑みなどはおろか、今日のおかずの一部――ピーマンだけを盛りつけた母親の分の取り皿――しかテーブルの上に残されていなかったからだ。
「謝罪はいらないから、早く晩ご飯食べてよね。あとお母さんはピーマンの山盛り食べないと許さないから」
「そんなぁっ!! お母さん、珠希ちゃんに何か恨まれるようなことしたかしら?」
メールを確認しながらの珠希の言葉に、身に覚えがないという彩姫。していないと思えるその図太い神経を少し分けてほしい。
「とりあえず、あたしは今からお風呂入るからそれまでに食べきって。食べ終わってなかったら片付けとか全部任せるからね」
「えーっ?」
「仕方ないよ結月。今日はさすがに俺たちが悪い」
「だな。わかったよ珠希」
「あうぅぅ。大樹くん、ピーマン代わりに食べ――」
「そんなことしたら明日から一週間野菜オンリーで行くからね」
比較的物分かりのいい大樹と暁斗に対し、肝心のピーマン嫌いなダメ母は何とかしてピーマンを食べないよう謀るものの、そんなことをドアの前で喋ったら珠希に筒抜けに決まっていた。よって珠希は対抗策を打ち出さざるを得なくなる。
そして当然、野菜オンリーとなると同じ食卓を囲む大樹や結月も巻き添えを食うわけで――。
「――っ!? お母さん! 絶対にピーマン食べてよね!」
「そんな……。結月ちゃんまでそんなこと言うの?」
「俺は明日からまた一人暮らし先に戻るんでいいけど」
「暁斗くんは私を見捨てる気っ?」
「けどな、俺もさすがに毎晩野菜だけってのは堪えるぞ」
「はうぅ。大樹くんまで。もう、わかったわよぉ……ぐすっ」
珠希の打った一手で完全に逃げ道のなくなった彩姫を連れて、大樹も暁斗も結月もダイニングへ戻っていった。
その足音をドア越しに聞きながら、珠希は改めてスマートフォン片手にPCの受信メールを開いていく。SNSから連絡事項、服やアクセサリーの通販サイトからのメルマガなどなど、届いていた一通りのメールを確認した
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