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【短編】竜門珠希は『普通』になれない【完結】
可愛いは正義。だけど化粧で作れる
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おねーちゃんが一番だよぉ」
「また都合のいいことを」
「そんなことないだろ。珠希はちょっと結月に厳しいけどな」
「それはお兄ちゃんが結月をすぐ甘やかすからでしょ!」

 今みたいに結月が珠希にすり寄ってくることは普段まずない。暁斗が一人暮らしするときは一緒に行くなんて言い出したのも、一人暮らしする前に暁斗の部屋に入り浸っていたのも結月である。つまりお兄ちゃんっ子だ。早くから家事能力のスキルアップを暗に求められていた珠希とは違う。
 しかも暁斗と一緒にモンスターを狩ったりゲットしたり、アイドルを育成(プロデュース)し始めたかと思えば自身がスクールアイドルになり、FPSで逃げ回ったりクリーチャーや警察官をアサルトライフルや武装ヘリで始末したりしてきた。おかげで今やすっかり感化されてしまい、ゲーマーとしての属性まで持ってしまった結月の部屋はゲームのハードやソフトがごろごろ転がっている。

「ってか結月、そろそろ離れて。髪の毛とか目に入ってくるんだけど」
「えー? もう少しいいじゃん。おねーちゃん、いい香りするし」

 いい香りって、それはあたしが晩ご飯作ってたからじゃない?
 自分のそれよりは100倍はいい香りがするのは結月のほうだ。朝から晩まで、パジャマ姿でもトイレから出た後でも何やら滅多に店頭で見かけないシャンプーやら香水やらを香らせている。まさかこれがモノホンの女子力ってやつ? と、珠希は家庭用洗剤の匂いを放つ自身の両手を見つめながら思った。

「うぅっ。こんなハズじゃあ……」

 一応、珠希にも初恋くらいの経験はある。小学生の頃、暁斗が家に連れてきた友人の一人で、ただ見ているだけに終わってしまったものの、それ以降色恋沙汰とは縁のない生活が続き、気づけば高校生買う3年間ももう半年で終わり。
 そもそも男友達もろくにいない状況で近しい年齢での男女交際に発展するわけもなく、かといって出会いを求めてL○NEやらのSNSに浸かるような暇もない。ナンパというナンパもされたことがなく、合コンも高校入学当初に2、3回行っただけでそれ以降なぜか誘われなくなった。もしかして何気なく友達からハブられたのかと思ったが、特に悪口や悪い噂を聞くこともなく、友人としての付き合いは何も変わっていないのでそのままにしていた。
 とはいえ、誘われなくなった理由が珠希にばかり相手男子の視線が集中してしまい、「これじゃ合コンにならないじゃん!」という女子側の心情であることを当の珠希はまったく気づいていないのだが。

「なにおねーちゃん。もしかしてカレシとか欲しいの?」
「カレシとかそれ以前に、もう恋とか何なのそれ状態だよぉ」
「それは女子高生としてヤバいんじゃねーの? 珠希ぃ」
「考え方がもう老けてるっぽくない?」
「はぅ……っ」

 いつの
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