暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜紅き疾風の短剣使い〜
プロローグ2
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ぬおおおおお!・・・・・ぶほあっ!」

変な掛け声と共に曲刀が滅茶苦茶な動きで振り回される。

当然のようにそれは空を切り、切ろうとしている青イノシシ――――レベル一のモンスター《フレイジー・ボア》の憎悪値(ヘイト)が高まる。

そして突進攻撃。見かけよりも素早いこのモンスターに吹っ飛ばされる姿を見て、オレ達は思わず笑い出してしまった。

「おいおい、そんな動きじゃ返り討ちになるぞ」

「落ち着いて、冷静に、かつ素早くモーションを起こすんだよ」

「ってて・・・んな事言ったって、アイツ速いし狙いが上手くつかねーんだよなぁ。キリト、シン。どうすりゃいいんだ?」

赤い髪を悪趣味なバンダナで逆立てた若侍のような美青年はフラフラしながら立ち上がる。

それを見た隣の勇者顔の男――――キリトは地面に落ちている石を拾い、ソードスキルを発動。

システムによってキリトの手から放たれた石は緑色のラインを引いてイノシシの眉間にヒットした。

それにより攻撃対象を変えたイノシシがキリと向かって突進してくる。

「何ていうのかなぁ・・・・最初は力を溜める感じに構えて、スキルが発動するのを感じたらドッパーン! て開放するって感じかな」

剣でブロックしながら説明したキリトはイノシシに蹴りを入れてオレの方に方向転換させる。

今度はオレに向かって突っ込んできたので、鞘から抜いた短剣、その柄頭で側頭部を強打。曲刀を構えたクラインへ再び向かわせる。

「無理に動こうとするとスキルが止まるから、とりあえずリラックスしてやれ」

オレ達の助言を受けたクラインは深呼吸し、右肩に担ぐように剣を持ち上げる。

モーションが検出され曲刀がオレンジ色に輝く。

「せあっ!」

掛け声と共に曲刀スキル基本技《リーバー》が発動し、滑らかな動きでイノシシを横一文字に切り裂く。

半分ほどになっていたHPが消滅し、イノシシは断末魔の叫びをあげてポリゴンが爆散。

オレの目の前に紫色のフォントで経験値と獲得コル、アイテムが表示される。

「うおおおお! 初勝利!!」

クラインがガッツポーズをしてから、三人でハイタッチを決める。

「おめでとうクライン」

「だがしかし、あいつはレベル一の雑魚だったりするんだよなぁ」

「・・・・え、マジ?」

「マジ♪」

そうやってひとしきり笑った後、手に持った短剣を腰のさやに収める。

クラインが笑いながらスキルの練習をしているのを尻目に、オレは周囲を見渡した。

何処までも続く夕焼けに染まる広い草原と南部に位置するスタート地点《はじまりの街》。

基部フロアであるこの第一層がどれだけの広さかは知らないが、少なくとも十キロ以上はあるはずだ。


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ