第四章
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「わしはよい跡継ぎを持った様じゃな」
「あの、言ってる意味がわからないんだけれど」
「だから高校生にして気付いたことはじゃ」
「凄いって?」
「わしよりさらにな」
「僕全然凄くないよ」
託神は自分のことを振り返ってから答えた、自分にしてみれば祖父は仰ぎ見る存在だ。師匠として以上に人間としても尊敬している。
だからだ、その祖父に自分より優れていると言われてもなのだ。
戸惑いを隠せずにだ、こう言うのだった。
「祖父ちゃんになんか遠く及ばないよ」
「いやいや、本当に今気付いたのは凄い」
「どう凄いのかな」
「気付いたら後はすぐじゃな」
孫の言葉に応えずこう言った王だった。
「御前は料理も憲法もこれから今よりも飛躍的によくなるぞ」
「そうなのかな」
「うむ、まあ今は休め」
こう言う祖父だった。
「そしてまた明日励むのじゃ」
「わかったよ。それじゃあね」
「料理も拳法も一日にしてならずじゃぞ」
こう言うことも忘れない祖父だった、そうしてだった。
託神は自分が何に気付いたのかも考えだした、だが。
幾ら考えてもわからない、しかしこのことを祖父に聞いてもだ。
祖父が答えるとは思えなかった、こうしたことをわかっている相手に聞いても笑ってはぐらかされるだけなのが大抵だ。ましてや祖父の性格なら余計にだ。
それでだ、自分で考えてもだった。
わからないでだ、それでだった。
祖父と拳法の稽古をしている時にだ、そこで。
動きをじっくり見ることにした、すると。
やはりその動きは速い、目にも止まらぬまでに。組合の時にそれだから余計に動かない。しかしここでだった。
祖父の動きをよく見た、見れば。
動きに力がない、無理に入っていない。
しかしだ、上半身の動きはだった。
あまり速くなかった、確かに速いが。
上半身の動きは思ったまでもなかった、しかしやはり速いのだ。
その速さを見てだ、彼は深く考えた。
上半身の動きではない、すると答えは一つだった。
足だった、その足の動きを見ると。
見事な足さばきだ、流れる様でいてしかも理に適っている。格闘技で言うフットワーク、それが相当なものだったのだ。
まさに極みだ、その足の動きを見てわかったのだ。
「そうか、祖父ちゃんの拳法の秘密はそれか」
足、その動きだとわかった。遂に。
そしてだ、それと共にだった。
料理の本を読んでいて勉強している時にだ、彼は麺について調べている時にコシの出し方で面白いものを見た。それは。
麺の生地を足で踏んでだ、そして。
コシを出すやり方があった、それでだった。
実際にそうして麺の生地を踏んでだった、コシを出そうとしてみると。
するとだ、余計にだった。
手でやるよりコシがある、
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