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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十三話  風雲
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ェザーンに不満分子を集め混乱を生じさせようとしている。それをきっかけに戦争を起こそうとしている。実際にはフェザーンと地球の間に繋がり等は無い……」
『……』
議長は沈黙している。もう一押し。

「ペイワード自治領主もフェザーンと地球の繋がりについて首を傾げています」
『しかしフェザーンには通商国家として不自然な部分が有ったのも事実だ。地球教を当て嵌めれば不自然さは消える』
「……」
今度は私が口を噤んだ。

確かにその不自然さは有る。フェザーンは余りにも同盟と帝国の間で戦争を煽り過ぎた。通商国家なら和平と戦争を適度に繰り返した筈だ。活かさず殺さず、両国から利益を搾り取る。ペイワードによればワレンコフは和平を考えたのだという。ワレンコフは両国に適度に休息を与え搾り取る事を考えたのだろう。しかし実現することなく事故死した。ペイワードはルビンスキーによる謀殺ではないかと考えていたが……、正しいのかもしれない、その場合裏に居るのは地球教だろう。

『今気を付けなければならないのは地球教団の残党がフェザーンに集結する事、そして騒乱を起こす事だ。帝国にフェザーン侵攻の口実を与えかねない』
「はい」
『ペイワードとも協力して混乱を防いでくれ』
「分かりました」
“では”と言うと通信が切れた。何も映さなくなったスクリーンを見ていると溜息が出た。フェザーンは通商国家だ、船の出入りは嫌になるほど有る。集結する事に気を付けろと言われても……。また溜息が出た。



宇宙暦 798年 7月 7日  ハイネセン  最高評議会ビル ジョアン・レベロ



トリューニヒトに呼ばれて議長の執務室に行くとそこには既にホアンとアイランズが居た。私を見てトリューニヒトが軽く頷く。
「揃ったようだな。フェザーンのシャノン弁務官から連絡が有った。帝国は地球を制圧したらしい。地球教団の本拠地を壊滅状態にしたようだ」
皆が顔を見合わせた。驚きは無い、来るべきものが来た、そういう事だ。

「白狐からかな」
「ああ、我々に報せてくれとの事だそうだ」
「では地球教はこれで終わりか?」
私が訊ねるとトリューニヒトが首を横に振った。
「いや、そこまでの確信は帝国にも無いらしい。大きなダメージを与えた、そんなところだろう」
ホアンが不満そうに鼻を鳴らした。

「それで?」
「レベロ、現状では地球とフェザーンを結びつける物は無い」
皆が顔を見合わせた。皆が渋い表情をしている。
「爆発の影響でコンピューター等が地面に埋まったり破損したりしているそうだ。復旧には時間がかかるようだ。復旧出来ればだが……」
面白く無い、私だけではないだろう。皆がそう思っているに違いない。

「こうなるとフェザーンが地球教団の根拠地になる可能性が大です。既にハイネ
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