暁 〜小説投稿サイト〜
早死に
第五章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
「新太郎も早死にするよ」
「じゃああれか、親父の家系が早死になのは」
「そんな生活してるからだよ」
 酒と煙草、極端なしかも健康に悪そうな偏食である。
「駄目に決まってるじゃないか」
「じゃあこれからな」
「そう、お野菜は嫌いでも」
 それでもというのだ。
「食べないとね」
「どうもな、キャベツとかな」
「美味しいよ、試しに今食べればいいじゃない」
 こう新太郎に言う。
「トマトだってあるし」
「そういうのを食えばか」
「うん、食生活を根本から変えたら」
「早死にしないんだな」
「それと朝からビールやコーラも」
「駄目なんだな」
「普通のものを食べて飲まないとね、お茶とか野菜ジュースとか牛乳とか」
「そういうのからか」
「そうだよ、じゃあ試しに」
 強い声だった、今の仁は。
「定食のキャベツね」
「食うのかよ」
「美味しいから」
 食べると、というのだ。
「食べたらいいよ」
「そうか、美味いのか」
「というか何で野菜食べないの?」
 新太郎個人に対する問いだ、代々の早死にのことは含めていない。
「それは」
「ああ、親父達が食ってなかったからな」
「食べる習慣がないんだ」
「そういえばお袋は食べてたな」
「だったらね」
 それなら、というのだ。
「食わず嫌いかな」
「そうなるか」
「それだったら一度食べたらいいよ」
 むしろそうしろという口調だった、仁の今の言葉は。
「本当にね」
「そうすればいいか」
「野菜食べないと」
「早死にするか」
「お酒の飲み過ぎと煙草の吸い過ぎも駄目だけれど」
「煙草は止めるべきか」
「それは絶対にだね」
 煙草についてはだ、仁は言うまでもないといった口調で答えた。
「身体にいいことは何もないから」
「だからか」
「お酒も。そんな一日一升とかはね」
「駄目か」
「絶対にね」
 こちらもだった。
「止めて。あと甘いものも今よりもずっと控えて」
「野菜食ってか」
「果物も甘いけれどね」
 こちらも、というのだ。
「とにかく野菜だよ、野菜を食べるんだよ」
「それか」
「そう、まずは試しにね」
「キャベツだよな」
「それ食べてね」
「そうか、じゃあ食ってみるな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 新太郎はキャベツの千切りを箸に取って口の中に入れた。そうして数回噛んで飲み込んでから仁にこう言った。
「美味いな」
「そう、美味しいんだね」
「キャベツって美味いな」
「他のお野菜も美味しいから」
「野菜もどんどん食ってか」
「お魚もお豆腐もね」
 そうしたものも、というのだ。
「とにかく色々なものを食べるんだよ」
「そうすればいいんだな」
「長生きする為にはね」
「そうか、代々早死にの理由はそれだ
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ