第五章
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経済はさらに悪化し失業率も改善されない。当然政治家や官僚の汚職もそのままで軍の改革も為されなかった。
そしてだった、外交も。
相変わらず旅行客も企業もスポーツ選手もトラブルばかり起こす、挙句にはネットユーザー達まで差別発言や他国への侮辱発言を繰り返し。
国家の評判は下がる一方だった、しかし大統領は政策を変えない。
この事態にだ、心ある者達は落胆しきってこう言い合った。
「まさかな」
「ああ、思いもしなかったな」
「あそこまでとはな」
「やれると思っていたが」
父親の補佐をしていた実績を見ての言葉だ。
「父親はよかった」
「ああ、元々あの国の軍人だったしな」
「あの国のことはよくわかっていた」
「実にな」
「我が国のこともな」
「その父親と一緒にいて補佐をしていた」
「何でもわかっていると思っていた」
今では過去形の言葉だ。
「思っていたんだがな」
「まさかあんなに駄目とはな」
「いきなり敵視政策か」
「他の政策を捨ててか」
「先送りか」
あらゆる政策をそうしてしまったのだ、大統領は。
それでだ、心ある者達は暗澹として言うのだった。
「これはまずいな」
「ああ、未来は暗いぞ」
「経済はどうなる」
「治安や汚職は」
「国防は」
「外交は」
「クレーマーになっている場合か」
大統領の政策がここで批判された。
「そんな場合ではない、今の我が国は」
「全ての分野で改革が必要だ」
「それもすぐにだ」
「大規模に行わなくてはならない」
「人気取りの状況ではない」
「政治だ」
それをだというのだ。
「政治をしてもらわないとな」
「ああ、そうしてもらわないとな」
「あの国の悪口を言っている状況か」
「あんなのは政治じゃないぞ」
「ただの人気取りだ」
それも悪質な、だ。
「あの国を怒らせるだけだ」
「それが自分の国をかえって苦境に陥れるからな」
何しろ最大の貿易相手で経済的に完全に依存している相手だ、その相手を怒らせてはというのである。
「政治をしてもらわないとな」
「問題の先送りはもう駄目だ」
「自分達を危機に陥れる」
「そうなるからな」
「ことは焦眉の急だ」
そこまでこの国は危ういというのだ。
「まさかあそこまで駄目だとはな」
「俺達も思わなかったが」
「これはまずい」
「大変なことになるぞ」
彼等は暗澹とさえしていた、今の状況に。それで経済大国の悪口ばかりを言って他の政策をしない大統領を見て絶望するのだった。
そしてだ、大統領は相変わらずだった。
その国の批判というか悪口ばかり言っていた。執務室の机の上には未決済の書類が重なる一方だ。だが全ては先送りにされている。それがそのまま国の未来を映し出していることに心ある者は
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