第四章
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「父親を助けていたしな」
「実質的にファーストレディーとして務めていたぞ」
「政治を知っている」
このことは間違いないと見られていた。
「父親のブレーンだったからブレーンの必要性もわかっている」
「実務能力もあるだろう」
「現実もわかっている」
この国が今置かれている状況、それがというのだ。
「結局ここは娘しかないな」
「ああ、それじゃあな」
「投票はあの娘にだ」
「そしてあの娘に投票するように国民に呼びかけよう」
「間違ってもあの運動家は駄目だ」
「あいつだけはな」
北に近い、それに彼が言う様々な政策が現実を知る心ある者達にとってはとんでもない代物ばかりだった。それでだった。
彼等は必死に元大統領の娘に投票する様に国民に呼びかけた。そうした努力の介があってであろうか。
元大統領の娘は何とか当選出来た、接戦だったがだ。
選挙に勝った、つまり大統領になることが決まった。これで心ある者達は何とかなるとほっと胸を撫で下ろした。
そうしてだ、彼等は祝杯を掲げながら話をした。
「何とかなりそうだな」
「ああ、あの人ならな」
「とりあえず経済大国との関係は修復されるぞ」
「我が国にとってあの国を怒らせることが一番まずい」
東の海の向こうの超大国をそうさせるより、というのだ。
「何しろ経済的に完全に依存している」
「あの国に国交断絶でもされたら我が国は終わりだ」
「国民の殆どがわかっていないが」
もっと言えばその国民が選ぶ政治家達もだ。
「敵対感情はあってもな」
「何とかそれは抑えないと駄目だ」
「あの国とさえ仲良くしていれば我が国は何とかなるんだ」
「国の立て直しもバックがいれば有り難い」
「あの国は経済的なフォローが凄い」
「我が国の発展もそれが殆どだしな」
「そしてあの国と国交を樹立したのがな」
まさにというのだ。
「あの元大統領だからな」
「父親だからな」
「その父親とずっと一緒にいたんだ」
「そのことは絶対にわかっている筈だ」
そう、筈なのだ。彼等はここでこの『筈』という言葉の意味をあまり考えなかった。希望だけを見ていて選挙の結果に安堵しているが故に。
「あの国との関係は修復される」
「後は改革も出来る」
「あの国を敵視する政策を取ればな」
その時はどうなるかというと。
「我が国は他の政策が止まるからな」
「あれは凄いネックだ」
歴代大統領が退任近くなるとやってきたことだ、その国を敵視ばかりして他のことが全てなおざりになってしまうのだ。
そしてだ、それがというのだ。
「その間の無策は大きいだろうな」
「そうだろうな、やっぱり」
「五年の任期の最後の一年半程何も行われないんだ」
「だからその間に事態が悪化するんだ」
「問題が先送りに
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