第三章
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「早坂さんがどう思うかだね」
「私はいいですよ」
智秋はにこりと笑ってみせて優斗に答えた。
「別に」
「僕とデュエットしていいのかな」
「はい、喜んで」
そのにこりとした笑顔での返答で応えた。
「こちらこそお願いしますね」
「それじゃあね」
こうして智秋は今度はデュエットをした、実は智秋は相当歌が上手く優斗もリードした、それで一曲終わってからだった。
優斗はにこりとしてこう智秋に言った。
「有り難う、早坂さんのお陰でね」
「歌が、ですか」
「うん、よく歌えたよ」
こう言うのだった。
「本当にね」
「いえ、課長さんが」
「僕が?」
「はい、この歌ご存知でしたよね」
「いや、はじめて歌った曲だよ」
知ってはいても、というのだ。
「それでこんなにい歌えるなんてね」
「私の、ですか」
「本当にね」
こう言うのだった。
「有り難う、本当に」
「いえ、私は」
口ではこう言っても笑顔の智秋だった、心では。
これで第二段階だった、そして次もだった。
そっとだ、優斗にこう言ったのである。
「あの、実は」
「どうしたのかな」
昼休みにだ、優斗が自分の机に戻ろうとしている時に廊下を歩いている彼に声をかけたのだ。
「一体」
「はい、レストランの予約を友達と入れてたんだけれど」
しかし、というのだ。困った顔を作って。
「ですが友達が急に来られなくなったんです」
「それはどうしてなのかな」
「何か急に身体の調子が悪くなったそうで」
こう困った顔のまま言うのだった。
「それでなんです」
「ううん、それは困ったね」
「はい、それで」
優斗が困っている顔になったとことでだ、智秋は優斗に言った。
「よかったら課長さんが」
「えっ、僕なんだ」
優斗は智秋のその言葉に驚いた顔になった、それで彼女にすぐに問い返した。
「僕をディナーに」
「はい、そうです」
「他に誰かいないのかな、僕なんか」
「いえ、他の人にもあたったんですけれど」
それでも、というのだ。
「皆予定があるそうで」
「そうなんだ」
「課長さん予定は」
「今夜だよね」
「はい、今夜です」
「うん、今夜は特にね」
優斗は自分を見上げている智秋に答えた。
「ないよ」
「じゃあお願い出来ますか?」
「いいかな、僕で」
「はい、是非お願いします」
「ううん、それじゃあね」
「二人で」
智秋はここで優斗に迷わせなかった、自分から言って彼の退路を断って選択肢を一つにさせた、そしてだった。
智秋は今度は食事を一緒に食べた、だがこの時もあれこれだけで止めて。
間隔を開けてまた彼を誘った、そしてだった。
三度目に誘う前にだ、同僚達にこう言った。
「いよいよね」
「一緒に食事に
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