眷属、集めます
第26話
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あまり気にしないで下さいね」
目を瞑って寝ない様に気をつけながら待ち続けます。10分位経った後、ようやく白音さんが口を開きます。
「……私は祐斗さんの傍に居ない方が良いのでしょうか?」
「どうしてそう思ったんですか?」
「私は、祐斗さんに迷惑ばかりかけて、足を引っ張って、傷つけて、恩も返せないで。ギャー君やヴァレリーみたいに強力な神器や神滅具を持っていなくて、ゼノヴィアさんやイリナさんやレイナーレさんの様に特別な資質が有る訳でもなくて、黒歌お姉ちゃんやグリゼルダさんの様に多くの術が使える訳でもなくて、ルゥやアザゼルさんみたいに祐斗さんの隣に立てるだけの力が無い。私には、何も無いんです。私は本当にここに居て良いんでしょうか?」
白音さんの心の内を聞いて、そこまで抱え込んでいたとは思ってもいませんでした。これは慰めの言葉などでは無理ですね。ですから、本音を話しましょう。
「居ても良いんですよ。いえ、傍に居て下さい。白音さんは、僕の恩人で大切な人なんです」
「恩、人?」
「白音さんに出会った当時の僕は、見た目以上に精神的な限界が近かったんです。僕は、初めて魔剣創造を発動させる直前に、僕とは違う二人の魂と混ざり合ってしまいました。原因は分かりません。そして、その二人の魂は並行世界から渡ってきた魂でした。一人は人外も魔法も本の中にしか存在しない世界の、研究職の男の魂です。そしてもう一人は、最初の男の世界の物語の中に登場する正義の味方を夢見て、九の為に一を殺し続けるしかなくなった男の魂です。つまり普通ではない上に非情に不安定でもありました」
白音さんはじっと話を聞いてくれています。
「不安定になった僕は、そのままバチカンに留まり、聖剣を作り続けながら書物を漁り、聖職者としての教育を受ける日々でした。そして、教会から追われました。ここからは以前にも話した通り1年程の放浪をする事になるのですが、その放浪で更に精神的に不安定になりました」
「今まで信じていた物に裏切られたからですか?」
「いいえ。僕の信仰は裏切られていません。裏切るのはいつも人ですから。僕を不安定にさせたのは自分の言葉です。『神は試練しか与えてくれないけど、僕らは手の届く範囲で救いを与えることも出来る。それは素晴らしいこと』覚えていますか?」
「はい。良い言葉だと思います」
「そうですね。でもね、僕は誰一人救いを与える事が出来たのかを知る事が出来なかった。いつも僕が辿り着いた時には手遅れで、教会時代の時も研究室や書庫に籠っていて、エクソシストとして外に出ていたときも被害が既に出ている所に行って原因を排除して去って。本当に僕は誰かに救いを与える事が出来ているのか分からなくなっていたんです。だけどあの日、白音さんに、初めて誰かにあ
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