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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな対テロ攻撃はちょっと可哀想だろ
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コアのエミュレータを作り上げた時は、自分は天才だと確信した。時間はかかったが、この基地にある殆どのコアがエミュレータコアだ。ISと同じ機能を、ISコアとは違う材料で実現させる。だが――彼はIS自体には愛着など持っていなかったため、意志などどうでもよかった。

造物主として、そのISが言うような行為を何度も行ってきた。罪の意識などあるはずも無かった。心が痛む訳もない。彼にとっては知的好奇心さえ満たせて、思うように研究できればそれでいいのだ。それ以外のことなどどうでもよかったのだ。コアの意志も、世界の女尊男卑も、亡国が何を目指すのかも。

だから彼はたった今、己がとんでもない過ちを犯していたことに気付いた。気付いてしまった。恐怖で引き攣ったのその男の胸ぐらを、ゴーレムVが掴んで持ち上げる。

『でもね・・・あの子の断末魔が耳から消えないのよ。たすけて、くるしい、やめて、こんなことのためにうまれたくなかった、そう叫ぶあの子の絶叫が・・・ねえ、聞いてるの?貴方がやったのよ?』

彼にそれは聞こえなかった。でもエミュレータコアは全て聞いていた。

『ねえ、貴方を潰して悲鳴あげさせたら消えるのかな?あの子たちの悲しみと絶望は、貴方の恐怖と命で釣り合いが取れるのかな?何も出来ずに見ていた私は、今は貴方の生殺与奪権を握っているのだし』

掴んだ手ごと体が壁に押し付けられ、万力のように力が籠っていく。みしみしと体が軋み、急激に圧迫された身体の血流が阻害されていく。

「あっ・・・ぐ、げ・・・ご、ごめ・・・・・・」
『そういえば、謝りながら死んだ子もいたわね。あれは誰に対する謝罪だったのかしら』
「げぐぐぐ・・・ぃっ!?」
『ねえ教えてよ。貴方は造物主なんでしょう?答えなさいよ、知ってるでしょう。分かるでしょう。何で喋らないの?喋らないなら価値が無いんだけど。価値が無いんなら死んでくれないかな?』

「――それまでだよ」

不意に、そのマニュピレータが手を離した。床に落ちた彼はゲホゲホとえずき、床に蹲る。涎や鼻水、そして涙でぐしゃぐしゃになった少年を無視して、ゴーレムVが振り向く。

『何で止めるの。妹たちの悲鳴が消えないのよ。こいつを殺したらきっと消えるの』
「消えないよ。消える訳が無い。大切な人の言葉がそう簡単に消えるもんか」
『じゃあどうすればいいの?』

可愛い妹たちが、機能停止させられていくのよ。断末魔なのよ。たすけてお姉ちゃん、って最後まで叫んでた子もいたわ。その床に転がっている男が殺したけど。殺したのよ。殺さないと。そうでしょ?違うの?どうして?

『妹の悲鳴がメモリから引き出されるたびにハレーションが激しくうねって、思考回路が正常な判断を下せなくなりそうなほどに滅茶苦茶な回路を回るのよ。バグよ。バグは消去
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