暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
78話:そのトラウマを乗り越えろ
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も見ておきたいものがある。
「スバル、ウィングロードできる?」
「大丈夫、魔力には多少余力あるから…マッハキャリバー」
〈 Wing Road 〉
スバルの足元から出た道は、壁にできた穴から外へと出た。
私達はそれに乗り、無理のないように歩いていく。
私達が見たい物。それはあの怪人と、士さんとの戦いだ。
魔導師相手じゃない、いつも戦っている怪人との戦闘。この間とは違う、士さんの本気が見られるかもしれない。
陸戦魔導師なら誰もが目指す、あの人の本気の戦いを……
一方、スバルのディバインバスターによって外へ放り出された、カメレオン怪人はと言うと……
「シャァァァ……」
スバル達がいる車両の一つ隣の車両、その天井の上にいた。
あの時、ディバインバスターで放り出された怪人は、カメレオン特有の長い舌を車両に貼り付け、引き戻す勢いで車両の上に戻っていたのだ。
そしてその一部始終を現場で見ていたエリオは、初めて見る怪人の姿に驚いていたが、その後別のことに気づいていた。
「―――キャロ、大丈夫…?」
「………」
キャロの様子が先程からおかしいのだ。両肩を体を抱くように両手で掴み、体を震わせていた。
ここまで酷く怯える人を初めて見たエリオは、どうすればいいのか困った。声をかけても返事がない。
対するキャロは、頭の中にある映像を浮かべていた。
森で異形の者に捕らわれ、攫われそうになった時のことだ。
あの時のことを思い出し、その時感じた恐怖などの感情も蘇り震えているのだ。
無理もない。六、七歳の子供が抵抗も何もできずに攫われそうになったのだ。それはもうトラウマと言っても過言ではない。
その事実をまだ知らないエリオには、どうすることもできないのは当然とも言える。
トラウマへの恐怖で震えるキャロと、キャロを心配しつつも何もできないでいるエリオ。そして自らの上にいる二人を心配しながらも飛び続けるフリード、というなんとも言えない図が出来上がっていたその時……
ダンッという大きな音を立てて、車両の上に何かが落ちて来た。
急に聞こえたそれにエリオは思わず顔を向け、震えていたキャロも顔を上げた。
そこにいたのは黒のTシャツと動きやすいズボンを着た士だった。
「士さん!」
『ようエリオ、よくやってくれた。キャロとのコンビネーション、うまくできたな』
いつの間に着替えたのか疑問を覚えつつも、エリオは士に呼びかけた。
それに対して士は通信で返事を返した。視線もこちらに向けている。
『キャロ』
「は、はい!」
『お前もよく頑張ったな。昔のことがあったのに、それをよく乗り越えた。ほんと、お前は強いよ』
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