第十三章 聖国の世界扉
第四話 入国
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に軽く頷くと再度声を上げた。
「いい加減姿を見せろ。それとも無理矢理引きずり出されたいのか?」
士郎が低い声で脅すように廃墟に声を向けるが、何の反応も返ってこない。ルイズたちが顔を見合わせ首を傾げてみせる。もしかしたらシロウの気のせい? 等の考えが浮かび疑わしげな視線を士郎に向けた時―――。
「風王結界ッ!!」
―――渦を巻く風を纏ったデュランダルを振り下ろし、セイバーが風の塊による巨大な不可視の鉄槌によって廃墟を破壊した。
……………………。
ガラガラと廃墟が破壊され、辺りに軽い地響きと瓦礫が地面に落ちる轟音が響き、大量の砂埃が舞い上がる中、士郎たちは崩れ落ちる廃墟を声もなく見開いた目で呆然と見つめていた。
「「「……………………は?」」」
ようやく声が出たのは、宙に舞う砂埃が地面に落ち切った後のことであった。重苦しい沈黙の後、漏れた言葉はたった一言だけ。何が起きたか理解出来ず口から出た言葉は気の抜けた空気のような声であった。
ギギギ、と錆び付いたかのような動きで、士郎たちはデュランダルを鞘に収めるセイバーに顔を向ける。
「―――良し」
「何が『良し』、っだああああぁぁぁぁっ!?」
鞘に剣を収め満足気に頷くセイバーの姿に、士郎が絶叫した。
「……何か問題でも?」
「当たり前だっ! セイバーなんで攻撃したっ?!」
「何故と言われても、あそこに敵がいましたので」
「どうして敵とだと分かるんだっ!?」
「気配を隠してこちらを盗み見ていましたので、あの者たちの仲間かと」
「だからっていきなり攻撃はないだろっ!?」
「シロウの警告を無視しました」
「俺か?! 俺が悪いのかっ!? さっさと事情を説明しなかった俺が悪いのかっ!?」
「シロウ? 事情とは?」
セイバーが眉を顰めて小首を傾げる。
士郎は力なく顔を垂らすと、乾いた声を溢した。
「……あそこにいたのがこの騒動を解決してくれるだろう相手だったんだよ」
「……それは、その、すみません」
事情を理解したセイバーが、身体を縮こませると済まなそうに頭を垂れた。士郎はじろりとそんなセイバーを見やると、大きく溜め息を吐いて顔を上げた。
「しかしセイバー。いくら何でもいきなりアレはないだろ」
「す、すみません」
「何かストレスでも溜まっていたのか?」
「そういうわけではないのですが、シロウの戦闘をただ見ているだけと言うのは……その、何と言いましょうか」
もじもじと身体を揺らしながら上目遣いで士郎を見上げてくるセイバー。
「手持ち無沙汰?」
「……手持ち無沙汰で殺されては、殺られた相手も堪らないな」
『はああぁぁ』と重い溜め息を吐いた士郎は、崩れ
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