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剣の丘に花は咲く 
第十三章 聖国の世界扉
第四話 入国
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に付いていっては無事に帰れそうにないと判断しただけだ」
「それはあなたがたに何かやましい事があるからでは?」
「はっ、お前たちが信用できるような者たちならばともかく……嘘を言うような奴らではな」
「私が嘘を言ったと? ……何とも失礼な方ですね。一体何を根拠に」

 にっこりと微笑むカルロと彼の背後に控える聖堂騎士を見た士郎は、口元を歪ませて肩を竦ませてみせた。

「血が流れるのを好まないと言いながら―――貴様らは血生臭さ過ぎる」
「「「―――ッ!?」」」

 士郎の背後、ルイズたちが息を呑む。カルロは士郎の言葉に目を見開くと、顔を俯かせ引きつった笑い声を上げ―――。

「ふ、ふふ。なかなか面白い方ですね―――この異端が」

 胸元に下げた聖具を握り締めながら顔を上げ士郎を睨み付けるカルロの顔には、目が真っ赤に血走しり、口角が釣り上がった悪鬼の如き笑みが浮かんでいた。 
 
「異端は黙って我々に従っておけばいいのだ。それを生意気な口をきいて……。生意気な口を聞いたこと後悔させてやる。さあ、神と始祖ブリミルの敬虔な下僕たる聖堂騎士諸君―――異端どもを血祭りに上げろ。最低限口が聞ければ良い」

 大きく開かれた口内は血のように赤く、放たれる口臭は血なまぐさい。狂気に染まった顔で背後に控える聖堂騎士に命令を下したカルロが、手に持った杖を指揮棒のように掲げた。それを合図のようにカルロに従う聖堂騎士たちから魔力のオーラが『ぶわり』と間欠泉の如く吹き上がった。

「“第一楽章”始祖の目覚め」

 カルロの指示に従い、聖堂騎士たちは一斉に呪文を唱え始める。それは士郎が今までこの世界で耳にしてきたものとは違い、呪文というよりも歌に近かかった。歌のような呪文の調べが流れると、士郎の背後からタバサの焦ったような声が上がった。

「―――賛美歌詠唱っ」

 滅多に聞かないタバサの焦った調子の声とその内容に、士郎は顔色を険しくした。

「あれが賛美歌詠唱か」

 タバサの警告に、以前学院の図書館で見た魔法についての書籍に記載されていた『賛美歌詠唱』についての記述を思い出した士郎は、ギラリと眼光を鋭く光らせる。背後ではタバサがギーシュたち水精霊騎士隊(オンディーヌ)に指示し、賛美歌詠唱に対抗するために“エア・シールド”を張らせていた。だが、その強度が足りないのだろうか、タバサの顔色は良くない。 
 ―――耐え切れない。
 そう判断した士郎は、聖堂騎士たちを睨みつけると腰を深く落とすと、鋭く呼気を吐き出し―――。
 
 

 
 鈍くくぐもった音が聞こえたかと思った瞬間、直ぐ横を何かが通り過ぎ、遅れて巻き込まれた風が男の頬を撫でた。呪文の詠唱によるトランス状態から意識を微かに回復した男が、風が吹き寄せた先に顔を向
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