第十三章 聖国の世界扉
第四話 入国
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姿に、思わずルイズは掴みかかっていた手の力を弱めてしまう。
「はあ、こうなっては仕方ない。ここは逃げの一手といこう、かっ」
「ひゃあっ?!」
動揺して掴みかかってきたルイズの手の力が弱まるのを感じた士郎は、そのままルイズを引き剥がしポイッと横に放り投げた。ルイズが放り投げ飛ばされた先には、事前にタバサが呼んでいたシルフィードの姿が。先にシルフィードの背の上に跨っていたキュルケが、宙を飛ぶルイズを“レビテーション”で拾い上げ引き寄せる。無事にルイズが回収されるのを確認した士郎は、混乱してオロオロと辺りを無意味に歩き回っていたティファニアを抱き上げると、セイバーが呼び寄せた彼女の騎竜である“スタリオン”に飛び乗った。
「一旦逃げるぞっ!! ついて来いっ!」
士郎が声を上げるのを合図に、二匹の竜たちが空を飛び、ギーシュたちが慌てて“フライ”を唱えて竜たちの後を追う。士郎たちが竜や魔法で空へと逃げるのを見た聖堂騎士たちは、詰所から翼の生えた馬―――ペガサスを連れ出すとそれに跨り後を追いかけ始めた。
通常であれば竜とペガサスでは飛行速度に差があるため、聖堂騎士たちが士郎たちに追いつく事は不可能であるのだが、互いの距離はじりじりと近づいていた。“フライ”で後を付いてくるギーシュたちがいることから、竜本来の速度が出せないでいるためだ。このままではいつ魔法が飛んできても可笑しくはない。それに何より飛んでいる關ク神集中する必要がある“フライ”での長時間の飛行は不可能である。このままでは逃げきれないと判断した士郎は眼下に広がるロマリアの街を見下ろした。
ぐるりとロマリアの街を見回した士郎は、碁盤のように整然と整理された区画の外れにある、廃墟に囲まれぽっかりと空いた一つの空き地を見つける。
「セイバー、あそこに降りてくれ」
「わかりました」
セイバーは指示された先に進路を変え、空き地に竜を向ける。後にルイズたちが乗るシルフィードと“フライ”で後を追うギーシュたちが付いてくる。
「ですがシロウ。これからどうするのですか? 彼らを退けるのは難しくはありませんが……直ぐに増援が駆けつけると思います。その度に相手をするつもりですか?」
「そう、だな。こうなったら奴らをさっさと片付けて、増援が来る前にアンリエッタの元に行くしか……」
「シロウ? どうかしましたか?」
唐突に言葉が途切れた事に訝しんだセイバーが後ろを振り返ると、士郎は眉根に皺を寄せた怪訝な顔で何処か遠くを見つめていた。迫る聖堂騎士たちでも後を付いてくるルイズやギーシュたちでもない方向に顔を向けていた士郎は口元を不敵に歪めると、セイバーに顔を向け肩を竦めて見せる。
「いや何、どうやら色々と考えなくても済みそうだと分かってな」
「どういうことですか?
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