第十三章 聖国の世界扉
第四話 入国
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落ちた廃墟に視線を向け。
「……流石に死んだか?」
難しげに顔を顰めた時、瓦礫の一部が大きく吹き飛んだ。
「ふむ、予想外にしぶとい」
瓦礫の下から現れたのは一匹の風竜。崩れ落ちる廃墟の瓦礫を身をもって主人を守ったのだろう。風竜の下には一人の少年の姿があった。風竜の下から進み出た少年は、瓦礫の山を踏み砕きながら士郎たちの前へと歩み寄ってきた。
士郎たちの目の前で足を止めた少年の姿に、ルイズは驚愕の声を上げた。
「あ、あなた、もしかしてミスタ・チェザーレ?」
「ええ。お久しぶりですねミス・ヴァリエール。しかし姿を表すタイミングを見計らっているだけで、これほど乱暴なノックを受けるとは思いもしませんでしたよ。アズーロがいなければとんでもないことになっていました」
チェザーレ―――かつてレコンキスタとの戦争で知り合った美貌のロマリアの神官である。ジュリオは背後に控える自分の風竜をチラリと見ると、廃墟への攻撃を加えたセイバーへと視線を向けた。
「初めましてレディ。ぼくはジュリオ・チェザーレ、あそこでのびている騎士たちと同じく始祖と神の忠実な下僕であるロマリアの神官です。どうぞお見知りおきを」
胸に手を当て優雅に礼を示すジュリオをジロリと上から下まで見回したセイバーは、小さく顎を引き頭を下げた。
「アルトリア・ペンドラゴンと言います」
「美しく、そして勇ましいお名前ですね。あなたに相応しい。ああ、あなたのような美しい方の手によって命を散らすのならば、本望だったかもしれません」
セイバーに向かって、ジュリオはその美しい顔に笑み浮かばせる。女性ならば誰しも見惚れるような笑みに、しかしセイバーは無表情で相対する。セイバーの様子に肩を竦めて見せるジュリオ。その竦められた肩に、ポン、と無骨な手が置かれる。
「で、そろそろ事情を聞いてもいいか?」
「ん? ああ、すみませんね。ぼくがここにいる理由はちゃんと説明しますよ。しかし驚きました。まさか聖堂騎士を素手で倒すなんて……。強いとは知っていましたが、まさかこれ程とは」
倒れ伏した聖堂騎士の面々を見渡しながらジュリオが感心したような声を上げる。
「ですが、なぜ剣を使わず素手で戦ったんですか?」
「まあなに単純な理由だ。ああいった輩はプライドだけは高いと相場が決まっているからな。素手で倒された等と口にする事は出来んだろ。だから後々面倒な事にならんようにしただけだ」
「それは、まあ、確かにそうですね。自分から恥を晒すような真似は出来ないでしょう」
魔法を使うものが素手の平民にやられた等、例え下級貴族でも口にする事は憚れる。ならばブリミル教の守護者たる聖堂騎士が自ら口にするなどそれこそありえない。やられた本人が口にしなければ、それは
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