第十三章 聖国の世界扉
第四話 入国
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そしてまた、ロマリアの役人は全て神官であることから、どこぞの教会の神父やらシスターやら神に仕える輩に過去幾度も酷い目に合わされてきた士郎の教訓に、また新たな一ページが刻まれることとなった―――『神官の役人は通常の役人よりも三倍厄介である』、と。
士郎の精神的な尊い犠牲により、何とか無事に官吏からの追求を躱すことが出来た士郎たち一行は、そこから駅馬車等を利用することで一日掛け目的地である都市ロマリアまで無事辿り着いた。後はアンリエッタの所まで会いに行けばいいだけ。手続き等面倒な事はあるが、騒動が起きるような事はない。だからと言って、決して油断していた理由ではない。それどころか逆に気が抜けた様子を見せるギーシュたちとは違い、士郎やセイバーは警戒を続けていたのだが、どうやら今回はそれが裏目に出る結果となった。
それは都市への入口である門をくぐる際の事であった。武器の持ち込みは事前に行李等に保管しなければならないと言うロマリアの慣習を知らなかった士郎とセイバーは、剣を腰に差したまま門を通ろうとしたのである。
門を守る衛士がそれを見逃す訳もなく、士郎は呼び止められることとなった。
「おい! そこの貴様っ!」
門の手前で呼び止められた士郎が声が聞こえた方向に顔を向けると、険しい顔をして近付いてくる一人の衛士の姿があった。
「貴様どこの田舎者だっ。ロマリアでは武器を持ち歩く事が禁じられていることを知らんのかっ!」
何故か同じように剣を腰にさしたセイバーを無視して、衛士は士郎へと一直線に向かってきている。
“ロマリアへの武器の持ち込み禁止”を今初めて知った士郎が、慌ててルイズ達を振り返って見ると、『あ、しまった』と言わんばかりの顔で全員が口に手を当てて視線を泳がせていた。何時も我関せんずな態度を取っているタバサも、読んでいた本を閉じて明後日の方向を見て視線を逸らしている。士郎が衛士に迫られている横で、セイバーは腰に差した剣を鞘ごと引き抜くと、こそこそと後ろに立っていたコルベールに差し向ける。コルベールはチラリとセイバーと剣を見下ろすと、苦笑を浮かべながら受け取り、自分のマントの下に剣を隠した。
セイバーが士郎を犠牲に身の安全を図っている間に士郎の前までやって来た衛士は、士郎の腰に差してある剣―――デルフリンガーに手を伸ばしてきた。反射的に迫る手を躱す士郎。剣を掴む筈だった手が空ぶり勢い余って前につんのめった衛士が、こめかみに血管を浮かせた真っ赤な顔で士郎を睨みつけた。
「きっ、貴様っ! 何を勝手に躱しているっ! っ、な、何かやましい事があるんだろっ! おいっ! ちょっと詰所まで来てもらおうか。色々と話を聞かせて欲しいんでなっ!」
まさか躱されるとは思いもしなかったのだろう。衛士は羞恥と怒りがごちゃまぜに
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