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雲は遠くて
56章 芸術の目的は人間を幸せにすることにある
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「しん(信)ちゃんたちって、よく、モリカワさんのお仕事と、
バンドの活動と、そのふたつを両立させてやってゆけますよね」

 岡昇が、香ばしいビーフパティにレタス、トマト、オニオンが挟まった
ハンバーガーを頬張りながら、川口信也にそういった。

「あっはっは。おれも、社会人になる前は、就職をしたら、趣味なんかには、
熱中なんてしてられないと思っていたんだけどね。まあ、そんなことは
なかったってことかな。一般的にも、プライベートが充実すれば、
仕事にも良い影響が出るってことも、いえるんだと思うけど。
純ちゃんは、どう思う?」

 そういって、信也は、テーブルの向かいにいる森川純を見た。

「社会人になって、限度いっぱいまで働いて、家に帰って、疲れきって、
あとはクタクタだっていう生活って、間違っているっていうのが、
おれのオヤジの、モリカワの社長の考え方だからね。
オヤジは、仕事でもプライベートでも、全力投球して、
魅力的な人間に成長して、生きいてゆけ!が口癖ですからね。あっはは」

 森川純は、頭をちょっとかいて、声を出してわらった。

「社長は、坂本龍馬が好きだからね。社会を変革しようっていう意思を、
龍馬から受け継いでるんだよね、きっと。すげえ、社長だと思うよ。
あと、業界的には、CD作っても、なかなか売れてない時代になってきたしね。
バンドだけでやってゆくのには、条件が悪くなってきたのかもね」

 クラッシュビートのギターリストで、モリカワの本部の課長の、
岡林明がそういって、隣の山下尚美(なおみ)に微笑んだ。

 山下尚美は、20歳、早瀬田(わせだ)大学、商学部3年生、
ミュージック・ファン・クラブ(MFC)の部員で、グレイスガールズの
森田麻由美(まゆみ)とは、特に仲がよい。

 その森田麻由美は、クラッシュビートのベーシストで、
モリカワの本部の課長をしている、高田翔太と交際している。

「翔ちゃんは、どう思う?仕事とバンドの両立とかについて。
あっはっは」

 岡林明は、わらいながら、高田翔太に話をふる。

「社長は。おれに、こんなことを言ってくれましたよ。
『会社の仕事とバンドは、両立できるはずだ、会社としても、
社員の収入と余暇を充実させる、この2本柱で、がんばって行く』
ってね。まあ、純ちゃんのお父さんだからって、褒めるわけじゃないけど、
スゴすぎの社長さんだよね。あっはっはは。
それにしても、バンドが継続できるかっていうのは、
仕事とかの環境要因よりも、バンドメンバー同士が気が合うか
合わないかが、重要だよね。ね、美樹ちゃん!」

 翔太が、テーブルの向かいの清原美樹に、人なつっこそうにわらう。

「翔ちゃんの言うとおりですね。バンド
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