第五話
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のもおかしな話だ。
(彼女が自分の意識でやったとしても考えられない……いや、まてよ……)
男は何か思いついたのか、ふと視線を部屋の隅に向ける。そこでは大きな泡につつまれた二人の少女が、こちらを鋭い目つきで見ていた。
(なるほど……そういうことか!)
地面に足をつけた瞬間、男はまた地面を蹴って壁まで飛び、ナイフを構えて二人に狙いを定める。その後もう一度壁を蹴ると、彼女達めがけて飛び始めた。
しかし、それまでまったくなかった水の流れが急に発生したかと思うと、男の体は一気に流され、そのまま壁に激突した。
(思った通りだ。これはあの子自身の攻撃であって、あの子自身の攻撃ではない。あの二人を先にしとめておくべきだった!!)
男は再び壁を蹴り飛ばすと、また水中を電光石火のごとく動き始めた。
「どうやらばれたみたいだよ。お姉ちゃん」
「大丈夫よこいし。こちらの行動がばれたところで、相手は何もすることはできない」
部屋の隅で泡に守られていた古明地姉妹は、男の行動をじっと監視し続けていた。隙を見てはにとりの援護をするため弾幕を張る準備はしていたのだが、水中での彼女の動きに合わせることができず、ただ見守るだけになっていたのだ。
にとりが行動不能になってしまった際二人も助けに行こうと考えたのだが、何せよ水中を速く泳げないため、助けに行くのが間に合わない。そこで二人はにとりの心情を読みとりながら危機を察知し、無意識で彼女の能力を使ったのだ。
「こいし、あなたはあの男を監視し続けてちょうだい。私はにとりさんの心を読みながら、弾幕で援護するわ」
「わかったよ、お姉ちゃん」
こいしはにとりを通じて水の流れをあやつり、こちらに突撃をしようとする男を翻弄していく。さらにはさとりが弾幕を作りあげ、水中の流れに合わせるように設置し男を攻撃し始めた。
いくら素早い動きをしている男でも、多少は水の流れに影響されて思うように水中を進むことができない。そこに設置されている弾幕が現れればなおさらだ。男は無理やり体をひねらせて弾幕を回避していったが、疲れが出始めたのか徐々に体に弾がかすり始める。
(ちっ……このままじゃこっちが不利か)
男は一度壁に張り付くと、何も言うことなく辺りを見渡す。
「なにをしてるのかな……」
「気を緩めちゃだめよこいし。あいつも何をしてるかわからな……い……」
さとりは急に声を小さくしたかと思うと、何かを見ながら目を見開いていた。
彼女の視線は言うまでもなくあの男を捕えていた。だが、男が水の流れを逆らうようなスピードで迫ってきているわけでもないし、遠距離攻撃をしようとしているわけでもない。特に脅威を感じるような事をしている訳ではなかった。
しかし、こいしもあの男を見た瞬間、危機感を感じ取っていた。いや、正確に言えば
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