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【短編集】現実だってファンタジー
俺馴?その2ー1
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ぐるみ?さざめが?何それキャラチェンジ?それともあれか、昔流行ったヤンキーデレって奴だろ!うわーなんかお前がやると妙に微笑まし……」
「黙ってろポンコツ野郎!」

右手の袋を引っ張られながらも左手ですぱーん!とひっぱたいておいた。マイリは単にかわいいもの見たさだからいいが、晴は単純にからかっているだけなので許さない。

「ぉぶへッ!?な、殴ることないだろ!!」
「ポンコツは殴って壊す!そして別の家電に買い替える!」
「壊すなよ!そして金で友達を買おうとすんなよ!」

頭を押さえて非難の目線を送るだが、殴られたくないなら殴られるようなことをしなければいいだけだ。……客観的に見れば晴に非があったかどうかは微妙だが。
しかし、そんなことはお構いなしに目を輝かせて人の腕を引っ張るマイリ。空気が読めない。そしてそんなマイリの真似をするように反対の袋を引っ張る晴。やはり空気が読めない。その2人がかりの引っ張りに翻弄されていら立ちが募る。どうしてこいつらはこうも――

「なあなあ、サザメよ!このトドクッションはどうしても手に入らなかったものなのだ!ちょっと抱かせてくれ!一回でよいから!」

人の気持ちも知らずに図々しく――

「酷いじゃないかさざめ!でもお前実はけっこう手加減してくれてるよな。その絶妙な力加減はやっぱりあれか?カノジョに怪我をさせたくない一心で――」

しかも2人バラバラで喋りまくるくせに、呼び止める行動は一致していやがるのか!

「だー!もー!ちょっとは静かにせんかこのアホ共がぁぁーーーーッ!!」

怒りが爆発したさざめの両腕は二人の後頭部をがしっと鷲掴みにし――
ごっちーん!といういかにも痛そうな音を立てて2名の頭を正面衝突させた。

「ぬごぅおおおおおおッ!?」
「うぐうううううううッ!?」

――2人はそのままズルズルと床に崩れ落ち、動かなくなった。
ああ、すっきりした。
 
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