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面影
第八章
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まで赤尽くしであった。スカーレッドの上着に紅のズボン、エプロンは鮮やかなピンクでありスリッパも真っ赤だ。何処までも赤系統で統一されていた。見ていて目がチカチカする程だ。
「大体何でここで赤なわけ?」
「決まってるでしょ。赤はお洒落な色なのよ」
「お洒落って」
 話を聞いていてデジャヴューを覚える智哉であった。
「話がわからないんだけれど」
「お客様が来られるじゃない。だから」
「お洒落したってこと?」
「そうよ。これでわかったわね」
「わかったって思う方がおかしいよ」
 うんざりとしたような口調で言葉を返してみせた。
「全く。何かって思えば」
「それで」
 お母さんの方で話を打ち切ってきて別の話題にしてきた。
「この娘なのね。あんたの横にいるこの娘が」
「はい、智哉君のガールフレンドです」
 純の方からにこにこと笑って名乗り出たのであった。
「純といいます。宜しく御願いします」
「純ちゃんね。いい娘ね」
「いい娘かなあ」
「だって服全部赤じゃない」
 お母さんが言うのはそこであった。今気付いたがお母さんも純も服を赤で統一しているのだ。おかげで目がかなり疲れてしまう。
「わかってるじゃない。お洒落が」
「そうですよね。赤ですよね」
 純もまたにこにこと笑ってお母さんの言葉に応える。
「お洒落する時は」
「そういうこと。あんたにしては珍しくいい娘を選んだこと」
「俺が責められるのかよ」
「当たり前でしょ。あんた何時でもセンス悪いんだから」
 ボロクソに言われる智哉であった。しかも自分の家の玄関でお母さんに。
「そのあんたがどうして。こんないい娘を選んだのよ」
「それはまあ」
「智哉君の方から声をかけてきたんですよ」
 またしても純がここぞというタイミングで述べる。

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