暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
銃の世界
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「リラちゃ――――ッ!」

ゴッ!という空気が切り裂かれる恐るべき音が耳を通って脳が認識した瞬間には、もう手遅れだった。

背に乗るミナを、いくら柔らかいとはいえシステム的に破壊不能と設定されている地面に叩きつける勢いで巨体を真横にローリングしたクジラは、そのまま砂漠の中に潜ってしまった。

みっちり砂が詰まっている土嚢でブン殴られたような衝撃に、視界いっぱいにヒヨコを飛ばしながら、同時に口内に嫌というほど入った砂粒を悪態とともに吐き出しつつミナは立ち上がる。

―――いったぁ〜。……ミナちゃんは。

視界隅に小さく浮かぶパーティーメンバーのHPバーを見た限り、驚きの四十パーセントも削れてはいるが生存しているらしい。

すぐさまメニューウインドウから簡易マップを呼び出す。

味方の陣形が秒単位で必要であるFPSというジャンルの中にあるGGOでは、パーティーメンバー限定ではあるが位置情報はかなり正確に記されている。

手元に現れた簡易マップによると、リラは相当遠方に吹き飛ばされたようだ。今の自分の現在地点からの距離が五キロ弱もある。トロいリラが再びここに到着するには、すぐにという言葉では言い表せないだろう。

「……………………………………………………………はぁ」

ぐしゃ、と前髪をかき上げつつ、重いため息をミナは吐き捨てた。

背後からズズゥーンン、と巨体が再度浮上しようとする前兆音が破裂した。

「あぁ〜もぉー、けーっっッッきょくこーなっちゃうのかぁー」

ジャコン、と。

音が響く。

空になるまで撃ちまくったトイソルジャーの空弾倉を滑り落とし、新たな弾倉を勢いよくセットした音だ。

右と左。

二丁のトイソルジャーを構え、ミナは《笑み》を浮かべる。

()()な。

()()な。

()()な。

そんな、普段の彼女の言動からは絶対に伺えない。

笑いとは言えない《嗤い》を。

口が左右に引き裂かれるような表情筋の動かし方をしながら、ミナはグッと足に力を込めた。

邪魔者(リラちゃん)が来るまで、あ〜そぼっ♪」

風車に向かっていく蛮勇のように。

しかしその実、心底愉しそうな表情で。否、恍惚さえ感じているように。

小さな足が砂地を踏みしめ、小柄な身体が疾駆する。
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