暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
銃の世界
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えないほどの大きさを誇る40ミリ口径の銃口から弾丸が発射される。

その輝弾は大慌てで飛びのいたミナが足場にしていた大クジラの背中付近に着弾し――――

爆発した。

ッドンッ!と腹に響く音が空気を振動させると同時、デトックス・ホエールの背の肉がごっそり爆ぜ抉り取られる。黄色と白の間のような色の表皮に反し、赤黒い血と肉が空を千切れ飛んでいく。

ゴアアアァァ!と、初めてクジラが本気の悲鳴を奏でた。

HPバーのほうも、眼に見えてカリッと削れる。それでも五パーセントくらいだろうが。

宙空でくるりと一回転し、猫のように砂地の上に軟着陸すると、頭の上にビチャビチャと血霧が降り注いできた。数分で消えるとはいっても、やはり嫌な思いはするものだ。

「ちょっと!ちょっとちょっとちょっと!何で私狙うの!」

「あたしが狙ってたトコにミナがいるからよ」

適当にうそぶきつつ、リラは手中にある得物の中ほどを持ち、力を込める。ッポン、という軽い音とともに、ぶっとい銃身が滑らかに折れた。

そのままでリラが銃口を上に向けると、デカい空薬莢が滑り落ち、黄色い砂の上に音もなく落下した。

M79

そのカテゴリーは擲弾発射器(グレネードランチャー)

銃口に取り付ける方式のライフルグレネードが主流だった1960年代に、歩兵に随伴する近接支援としてアメリカが開発した一丁である。

中折れ単発式。つまり一度に装填できる弾丸の数は一つきりで、さらに再装填に僅かな隙ができるのが玉に瑕ではあるが、それらを補ってなお高いメリットは、発射できる弾丸の種類による。

榴弾(りゅうだん)

焼夷弾(しょういだん)

フレシェット弾。

いずれも、おおよそ人体ではなく、対車両、対戦車、対家屋といった、《物体》に向けて放つものである。

対人ではなく対物。

その威力は、わざわざ言わなくても分かるだろう。

薬莢を排出した銃身に、肩掛けしているショルダーバッグから取り出した弾丸を詰め直す。あのバッグだって、装備重量の許す限りほぼ無限に弾を詰め込める四次元バッグだったり、相当のレア物だったりするのだが、普段の使用方法からはそんな気配は全く伺えない。

「おっしゃ第ニ弾――――」

ホオオオォォォォーッッッ!!!

ボゴォッ!!とリラの足元が爆発的に膨れ上がる。

「り、リラちゃん!尻尾攻撃!!」

「くッ!この――――ッッ!」

先刻リラのM79が放った榴弾の破裂音など、爆竹程度に思えるほどの大音量が鼓膜に響き渡った。

砂中から爆音とともに持ち上がった、学校にある二十五メートルプールにすっぽり収まりそうなほどの尾ビレは、圧倒的な速度を持ってリラの小柄な身体をミナの視界から掻き消した。

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