暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
銃の世界
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。というか、気のせいであってほしい。

え?嘘でしょ?

まさかここまで待たされて、その根拠が勘とか言わないよね?ていうか言うな。

二人してコンクリートの塊から顔を出し、陽炎が次々と産出されている砂漠の地平線に眼を向けた。リアルだとまだギリギリ夜明け前であるがGGOでは少しだけ時間軸がズレているため、地平線の向こうから顔を出している太陽は、もうその全容を現そうとしていた。

ジリジリという擬音語までくっ付いてきそうな暑さが、出した顔にモロに来る。

「…………帰りたくなってきたわね」

「ここまで来て諦めないでよぅ!」

ぎゃーぎゃー言い交わす二人の前で、異変は起こった。

地平線よりもうちっとこっち側で、ドバッ!と砂柱が立ち昇る。

次にやって来たのは衝撃波。

重い空気の層が砂塵を伴って、コンクリートごと砂漠から引っこ抜こうとする。

慌てて首を引っ込めた瞬間、ゴバッ!!という音とともに先刻まで顔があった位置を致死の風が素通りしていく。陽光に照らされ、熱された風は、仮想体(アバター)の身体など元の色が分からないほど蒸し焼きにするだろう。

ざばぁ………

ざふぁ……ざぁ………

かなり遠いところだが、断続的な音が空気を震わせてくる。

遠く離れたここでも地面が振動していると言えば、その規模(スケール)が伝わるであろうか。

「移動してるわね。ミナ」

「ん。……………パターン……C、かな?」

リラは取っていない《聞き耳》スキルを使用する。

今まで血と汗と涙をちょちょぎらせながら収集した《ヤツ》の移動パターンを頭の中で展開して、鼓膜を震わせる音と肌で感じる振動から大体の位置を割り出し、二つの情報をもとに参照する。

「ってことは、ここに来るのは四分後ね」

麻痺地雷(マインスパーク)でも仕掛ける?」

「じょーだんっ!どーせアースして、十数秒くらいしか麻痺持たないわよ、《アイツ》」

だよねー、と相槌を打ちながら、ミナは掩蔽物からそっと顔を伺わせて《ヤツ》を見た。

ホオォォォオオオオオオオオオオオオォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!!

空気が丸ごとかき乱されるような《咆哮》が鳴り響く。

正式名称【デトックス・ホエール】

通称《砂漠クジラ》

黄色い砂しかない砂漠を、まるで大海のように潜ったり泳いだりしている、超が付くほど巨大なクジラである。

大きいものが強いとか、そんな漫画みたいな法則が適用されているGGOに巣食うクリーチャー達ではあるが、このクジラに関しては頭一つ飛び抜けているといってもいい。

何せ、あれの討伐クエストがアップデートされてからもう三ヶ月も経っているのに、MMOであるにも拘らずまだクリア者がいないと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ