第二部 vs.にんげん!
第24話 つじぎり!
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上がろうとした。
「あのアマ、どこに――」
その男の背中を、誰かの足が踏みつけにした。
首筋に剣があてがわれる。
「死にたくなければ動くな」
冷たい、女の声。男は動くのをやめ、声を上げる。
「な、何だてめぇ――」
前方から、新たな人物が来る。灰色の髪の逞しい初老の男と、――黒髪の女。
「言っとくけどな、お前のツレ、助けにこねえから。俺の店でのびてるからよ」
オイゲンが言った。更に二人のカルスの戦士、アルバートとボスマンが二人の後ろからやって来る。
「レイア、剣を収めてください。その方はもう無抵抗です」
「どうだか……」
と言いながらも、賞金首を踏みつけにするレイアは、結局足をどかしてアルバートとボスマンに処置を任せた。男は暴れようとしたが、たちまちアルバートとボスマンによって縛り上げられた。
「クソッ! お前ら知ってるのか! その女の身柄が幾らになるか! その女のした事をよ!!」
「うるせぇなあ、少し黙れよ」
と言いながら、ぐるぐる巻きにされた男をアルバートが担ぎ上げる。
「そいつは――その女はな! 実の父と兄を殺したんだぜ! ラコース王国のミバル公をよ!」
嘲りをこめて言い放った男は、オイゲンの返事に目を丸くする。
「知ってるぜ? それがどうした」
レイアだけが、眉を動かし、少しだけ驚きを表した。
「この子、しょっちゅうしょっちゅう俺の店に来て転送機で送金頼んでたからよ。ラコースの貧しい人のためにな。お前は何だ? 無抵抗の人間を追い詰めて、その金を何に使う気だった?」
「うるせぇっ!」
男は唾を飛ばし叫ぶ。
「そんなの、ジジイの知った事か!」
レイアは剣を手に、雪に足音を刻みつけて男に歩み寄る。
そして、喉に剣を突きつけた。
「レイア! 何をする気ですか?」
「その話が本当なら、生かしておく理由はないな。この男も、その連れもだ。外界で触れ回られては迷惑だ。――お前に何かあっては。私の遺跡探索に支障をきたす」
「やめてください、レイア! 無益な殺生は、どうか――」
レイアは男の前で、ぽん、ぽん、と刀身で掌を叩きながら、どうしたものかと思案した。
結局、剣を鞘に納める。
男は、アルバートとボスマンが酒場まで運んで行った。
「……他言はしない」
レイアはただ一言、言った。そして、宿舎へ続く道へ、先に一人で歩きはじめる。
「レイア……」
エレアノールが、そしてオイゲンが、後に続いた。
「有難う、レイア……」
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